トヨタのコンパクトSUV、ヤリスクロスが2020年8月31日に登場してから約1ヵ月が経過した。
ヤリスクロスのボディサイズは全長4180×全幅1765×全高1590mmだが、その下のクラスには全長3995×全幅1695×全高1620mmのライズ、上のクラスには全長4385×全幅1795×全高1550mmのC-HRがある。
まさに、近いクラスでSUV3車がラインアップするという、身内の中に敵あり、という様相だ。
ライズ、C-HRのラインナップに、ヤリスクロスが加わったことで、販売現場はかなり混乱しているのではないかと予想される。
そこで、流通ジャーナリストの遠藤徹氏が、ライズ、ヤリスクロス、C-HRの販売現場を徹底取材。今何が起きているのか、販売現場の今を報告しよう。
文/遠藤徹
写真/トヨタ ベストカー編集部 ベストカーweb編集部
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ヤリスクロスの納期は最大4ヵ月!
トヨタは新型コンパクトSUV「ヤリスクロス」を2020年8月31日に発表、9月1日から発売開始した。
ヤリスクロスは絶好調の滑り出しをみせており、2020年9月27日現在で受注累計は2万台以上に達していると推定される。
納期はガソリン車が2ヵ月程度、ハイブリッド車が3~4ヵ月程度、2トーンカラー仕様が+0.5ヵ月程度となっている。
トヨタには同じコンパクトSUVでダイハツからOEM供給しているライズ、クーペSUVのC-HRがあるから、トヨタ車同士での競合がさらに激化すると予想される。
ボディサイズはヤリスクロスが全長4180×全幅1765×全高1590mm。その下のクラスとなるライズが、全長3995×全幅1695×全高1620mm、ヤリスクロスの1つ上のクラスとなるC-HRは全長4385×全幅1795×全高1550mm。
各モデルにおける車両本体の価格帯はライズが167万9000~228万2200円、ヤリスクロス179万8000~281万5000円、C-HR238万2000~304万5000円となっており、価格帯も一部バッティングしている。
かつてSUV販売NO.1だったC-HRの落ち込みが加速中
2020年7月まではヤリスクロスがまだ発売されていなかったので、ライズとC-HRの価格帯でのバッティングはなかった。
それでもライズが2019年11月の発売以来、月販1万台規模で絶好調の売れゆきを見せているのに対してC-HRは、モデルが古くなったこともあり、2000台そこ新車効果のあった発売当時よりも半減状態の大幅マイナスとなっている。
C-HRは2016年12月に発売され、2017年4月にはコンパクトSUVながら、登録車1位を記録し、発売から2017年6月までの7ヵ月間で2位2回、3位1回、4位2回を達成。2017年、2018年と2年連続でSUV販売NO.1に輝いている。2019年は僅差の209台差でSUV販売NO.1の座をヴェゼルに明け渡した。
2020年1月は、3543台(対前年比81.9%)、2月3912台(対前年比64.3%)、3月5172台(対前年比57.8%)、4月2334台(対前年比54.2%)、5月1595台(対前年比37.9%)、6月1833台(対前年比42.2%)、7月2160台(対前年比51.5%)、8月2349台(対前年比65.1%)と大きく伸び悩んでいることがわかる。
おそらく2020年はライズがSUV販売NO.1の座に輝くだろう。まさに盛者必衰である。
これにヤリスクロスが加わるとどうなるか。ライズとC-HRの両方からシェアを食い、三つ巴の戦いがさらに熾烈化することが見込まれる。
ヤリスクロスは2020年7月末から先行予約を受付けており、冒頭で紹介したように2万台以上を受注していると予想する。
トヨタディーラーの営業マンによれば、ヤリスクロスの競合車としてユーザーから挙がる車種は、今のところC-HRのほか、ヴィッツ、シエンタ、カローラフィールダー、ポルテ/スペイドなど、トヨタのコンパクト車で占められているという。
全店扱いとなっているため、販売しているのは同じトヨタの営業マンだから、ユーザーがライズ、ヤリスクロス、C-HRのチョイスで迷う場合、コンセプトの違いを説明することになる。ヤリスクロスを購入しようとしているユーザーは、競合車がすべてトヨタ車というのも凄い。
ライズはSUVのなかで最もコンパクトなボディサイズだが、全高を高めに取り、室内が広く荷物の積載性に優れている。
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