2020年6月17日にフルモデルチェンジした新型ハリアーの勢いが止まらない。
月販目標の4000台に対して、その後の販売台数の推移は7月9388台(対前年同月比273.3%)、8月6231台(同203.6%)、9月8979台(同230.8%)と、対前年同月比は、最大273.3%という急増ぶりとなっている。
登録車の新車販売ランキングは7月4位、8月6位、9月5位といずれもベスト10の圏内に入り、高級SUVが上位に食い込むのは非常に珍しい現象だ。
新型ハリアーはなぜここまで大ヒットしたのか? この人気は一過性のものではないのか? 流通ジャーナリストの遠藤徹氏が徹底レポート!
文/遠藤徹
写真/ベストカー編集部 ベストカーweb編集部
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6月の登場以来、7月4位、8月6位、9月5位と販売絶好調
新型ハリアーの販売が絶好調だ。2020年6月17日に発売され、発売と同時にスタートダッシュを決め、7月9388台(対前年比273.3%)、8月6231台(同203.6%)、9月8979台(同230.8%)と絶好調を維持している。
主なライバルのSUVと販売台数を比べて見ると(表参照)、まさにハリアーの圧勝という状態。
直近の9月の販売台数はハリアー8979台に対し、RAV4が4839台、エクストレイルが1762台、CX-5が2606台、CX-30が2905台、フォレスターが2643台とライバルの2倍以上も売れているのである。
これだけ売れているのだから気になるのは納期。2020年10月上旬現在のハリアーの納期は全グレード2020年3月中旬、5ヵ月待ちとは驚くばかりだ。
特に引き合いが集中し、時間がかかるボディカラーのプレシャスブラックパール、レザーパッケージ、パノラマルーフ仕様などは、さらに1ヵ月先送りの2020年4月中旬にずれ込んでいる。
1ヵ月前の2020年9月下旬と比べると、いずれも約1ヵ月納期がずれ込み、人気度合いはさらに加速状況にある。
パワーユニット別の受注構成比は首都圏の平均値で2L、NAガソリンと2.5Lハイブリッドが半分ずつ、2WD比率はどちらも70%程度と高い。
グレード別だと最上級のZが50%、中間グレードのGが30%、Sが20%で上級になるほど人気が高い傾向がある。ZとGにはレザーパッケージ仕様を設定しているが、こちらはいずれも半分程度を占めている。
ボディカラーはプレシャスブラックパール、ホワイトパールクルスタルシャイン、ブラック、スレートグレーメタリック、スティールブロンドメタリック、センシュアルレッドマイカ、ダークブルーメタリックの7色のうち、プレシャスブラックパール、ホワイトパールクルスタルシャインの2色で全体の約半分を占めるほどの人気の高さとなっている。
なぜハリアーがこれほど大ヒットしたのか?
新型ハリアーの売れゆきが好調なのはSUVブームのなかで、絶対的なニーズが高まっていることに加えて、これまでの日本車SUVに足りなかった高級感、質感の高さ、見た目のカッコよさを備えながらも価格がお手頃だった、ということにつきる。
加えて、2.5ハイブリッドに、従来の4WDに加えて2WDも設定し、最新の安全、安心パッケージの装備した点も売れゆきを伸ばした要因だろう。
また発売した時期が、ちょうどトヨタ全系列店扱いになった直後(トヨタ全店扱いは2020年5月~)で、販売力が一気に増強した点も追い風になったと考えられる。
私も正直、ハリアーがこれほど売れるとは思っていなかった。首都圏にあるトヨタ系列店を回る度に「新型ハリアーの人気の原因と、競合する対抗モデルは何か」と尋ねて回ったが、多くの営業担当者が同じような回答をした。
「新型ハリアーのライバルは強いていえば、レクサスNX、RXだが、レクサス車はハリアーより100万~200万円も高いので、競合しても相手にならない。
また、CR-V、CX-5、フォレスターはいずれもハリアーの対抗モデルと考えていない。ハリアーのライバル車としてよくお客様から言われるのはRAV4だが、RAV4はオフロード四駆で都会派SUVではない。
都会派SUVとして考えた場合、輸入車と肩を並べるほどのプレミアム感と価格競争力を持っているのはハリアーだけ」。
複数の営業マンから聞いてなるほどと思ったのは「レクサスに匹敵するほどの高級感、品がハリアーにあるが、レクサスほど高額ではない。それほど高くない価格で買えるから人気なのだ」と。
あとは販売面が強化されたことも売れた原因の一つだろう。これまでハリアーは、トヨペット店の専売モデルだったが、現行4代目にバトンタッチしたのを機にトヨタ全系列店扱いに拡大した。
トヨペット店の全国店舗数は2019年8月現在(業界調べ)で51社913店、トヨタ店48社、889店、カローラ店72社1190店、ネッツ店103社1451店となっている。
つまり従来よりも販売店舗数が約5倍増強されている計算になるのだから、相当販売力がアップされているといえる。当然、これまで扱ってこなかった3系列店にとって、新型ハリアーは、ドル箱的な魅力的なモデルとなっている。
新型車発売日の2020年6月17日から首都圏のトヨタディーラーを回ったが、大部分のトヨタ店、カローラ店、ネッツ店のショールームでは広いガラス張りに「新型ハリアーとアルファードを新たに扱うようになりました」といった張り紙でアピールしていた。
しかも営業マンのやる気も違う。新型ハリアーは人気が高く高額車であるから、扱うディーラーにとっては収益性が高いので営業担当者はより積極的に売るスタンスで臨んでいるのだった。
受注構成比を関係者から聞いたのだが、系列店別に見ると従来専売店だったトヨペット店が最も多く全体の40%程度を占め、次いでトヨタ店、カローラ店、ネッツ店の順になっているという。尚、具体的なパーセンテージまでは明かせてくれなかった。
ハリアーは高級車であるから、上級モデルの保有ユーザーが多いディーラーほど受注構成比は高くなっている。代替えする下取り車は今のところ70%程度がトヨタ車で占めるという。
車種的には歴代ハリアーを筆頭にクラウン、マークX、カムリ、RAV4、エスティマ、ノア/ヴォクシーなどが目立つ。
他メーカーの下取り車はエクストレイル、フーガ、セレナ、CR-V、ステップワゴン、CX-5、アクセラ、フォレスター、レガシィなどである。
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