超絶技巧!! でも風が吹くと消えちゃう!! ホコリで描かれたアートなクルマたち

超絶技巧!! でも風が吹くと消えちゃう!! ホコリで描かれたアートなクルマたち

 おいおい、ボディ全面にイラスト(絵)を描いちゃクルマが可哀想だろ~。それとも“痛車”の進化型かぁ~?
 ……とか思ってしまうが、これ、大雨が降ったら消え失せてしまう絵なのです。なぜか? 「ホコリをかぶったクルマに描かれた絵」だから。
 誰が呼んだか、この“ホコリまみれアート”で彩られたトヨタSAI・計3台が、東京・渋谷(3月4日)と秋葉原(同31日)のイベントスペースに出現。
 ベストカーでは、秋葉原で展示された2台と制作を担当した2人を取材。実演も行われるなか、人々は2台のクルマを食い入るように見つめていた。

文・写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2018年5月26日号


■真っ白なSAIに描かれたのは…え? これ、黒のSAIなの?

描いたのは五十嵐大地さん(21歳。東京芸術大学)。ドアの「橋」が実に繊細
浮世絵風のイラストが描かれたSAI。描いたのは五十嵐大地さん(21歳。東京芸術大学)。ドアの「橋」が実に繊細

 これ、実は個人間カーシェアリング“マイカーシェア”をはじめ3つのレンタカーサービスを展開するNTTドコモの「dカーシェア」、そのPRのためのアート作品。

 「日常のなかで愛車を使っていない時間(=愛車がホコリをかぶっている時間)を、マイカーシェアで有効活用しませんか」と訴求するためのクルマ、というわけ。

リアガラスには浮世絵から飛び出た男女の後ろ姿が描かれている
リアガラスには浮世絵から飛び出た男女の後ろ姿が描かれている

 今回担当が秋葉原で目の当たりにしたのは「アニメ風」と「浮世絵風」のイラストが描かれたトヨタSAI・2台。どちらもガラス面やボディにプリントを貼ったかのように繊細に美しく描かれていた。でも、クルマ全体を覆っているのは本物のホコリにはちと見えないのだが……。

「鉢植えなどに使う赤玉土、それを入念にこして細かい砂にしました。それを機材を使ってクルマに吹きつけ、ホコリをかぶったように見せているんです」とはPRの担当者。本物のほこりを集めて描くのはさすがに大変(笑)。この赤玉土、充分ホコリに見えます!

 アニメ風のイラストは大学生がドライブに行く設定で、フロントとサイドガラスに4人が描かれている。黒ボディ全体を覆う土色のホコリを筆などで削り取り描いていく作業となるが、イラストを担当した長谷川彰宏さん(21歳。東京芸術大学)は、「市販品の筆もいいけど、割り箸を削ったものや爪楊枝など、自分で工夫した道具のほうが描きやすいですね」と語ってくれた。当日はデモンストレーションも行われたが、細い線の部分は棒に付けた爪楊枝で丁寧に削って(描いて)いた。

フロントに描かれた4人。左は担当の長谷川さん。「5日ほどで描きました。その前に下絵もありますけど」。一台あたりに使った赤玉土は2~3kgという
左が長谷川さんだ。「5日ほどで描きました。その前に下絵もありますけど」。一台あたりに使われた赤玉土は2~3kgという
道具の一部。右端が棒先に付けた爪楊枝。中央がチークブラシ。「ブラシでぼかすのはマジで大変!」(長谷川さん)
道具の一部。右端が棒先に付けた爪楊枝。中央がチークブラシ。「ブラシでぼかすのはマジで大変!」(長谷川さん)

 中間の淡い色合いはどう表現しているのか? 「化粧道具のブラシで表面のホコリを薄くはがすようにすると中間色が出せます」と長谷川さん。実に繊細な作業だ。描いたものが吹き飛ぶので、大きなクシャミはもちろん御法度(笑)。

「ホコリを持って描かれた」に違いない。そう感じるクルマたちだった。

入念な手作業。「使われずにホコリをかぶったクルマなので新しすぎないSAIを選びました」(PR担当者)とのこと
入念な手作業。「使われずにホコリをかぶったクルマなので新しすぎないSAIを選びました」とはPR担当者の弁

こちらは渋谷で展示されたもの。乗車中の4人のリアルさに驚き

こちらは渋谷で展示されたもの。乗車中の4人のリアルさに驚き!

 

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