佐藤琢磨が日本人初のインディ500優勝を成し遂げてから早4カ月。その後、彼がどのようなシーズンを送ったかご存じだろうか。
2018年に新チーム移籍が決まった琢磨は今年1年、日本人ドライバーの歴史を塗り替える功績を残した。その先に続くインディ500連覇、年間チャンピオンへ。その期待値はさらに高まる。
文:天野雅彦/写真:INDY CAR
世界最大のレース、インディ500優勝で日本人初優勝
佐藤琢磨は2013年に日本人としてインディカーレースで初優勝した。歴史も人気もあるロングビーチグランプリでのことだった。そして今年、琢磨はキャリア2勝目を挙げた。
ロングビーチは市街地コースでの戦いだったが、今度はアメリカならでは、インディカーならではのバンクがつけられた超高速オーバルコース、インディアナポリスモータースピードウェイで行われる世界最大のレース=インディ500においてだった。
スポーツイベントに集まる観客数としては世界最多とギネスブックも認める30万人超が見守る中、ブラジルのエリオ・カストロネベスとレース終盤に抜きつ抜かれつのバトルを展開した琢磨は、それを制して見事な勝利をマークしたのだった。
インディ500優勝後も予選1位を2回獲得
インディカーシリーズは、その後もアメリカ各地を転戦。琢磨はインディの翌週にはデトロイトのストリートコースでポールポジションを獲得し、レースは4位フィニッシュ。
続くテキサスの1.5マイルオーバルでは優勝争いの中で他車と接触してクラッシュ。全長が1マイルに満たないアイオワのショートオーバルで予選5位、ツィスティーなロードコースのミッド・オハイオで予選3位/決勝5位。
コーナーが3つしかないユニークな高速オーバルのポコノでポールポジション獲得。
さらには高速ロードコースのワトキンスグレンで予選4位、アップダウンの激しい最終戦の舞台=ソノマレースウェイでの予選で5位と、あらゆるキャラクターのコースで活躍した。
2勝目ならずも年間8位は日本人歴代ベスト
予選が上位でもレースでマシントラブルに見舞われることが多かったため、琢磨が年間2勝目を実現することはできなかった。しかし、シーズンを通してトップ争いに加わり続けた彼は2017年シーズンをランキング8位で終えた。
シングルの年間ランキングは琢磨にとっての自己ベスト、そして、歴代日本人ベストとなる成績だ。
2015年からの3シーズンに渡り、インディカーではホンダとシボレーのエアロキットが使われて来たが、2018年シーズンからは出場全車が同一のエアロキットをまとって戦う。新型エアロの特性をいち早く見出し、セッティングをまとめ上げた者たちがアドバンテージを持ってシーズンを進めて行くことになる。
佐藤琢磨がインディ500をともに制したチームを去るワケ
そして、そのシーズンに向けて琢磨はチームを替える。アンドレッティオートスポートを離れ、2012年シーズンを共に戦ったレイホール・レターマンラニガンレーシングへと移籍するのだ。
インディ500で勝ったチームを離れるというのは珍しいケースだが、それはアンドレッティオートスポートが使用エンジンをホンダからシボレーに変更する動きを見せたためだった。
琢磨はホンダ契約ドライバーなので、ホンダを使うチームでしか走れない。そこで他チームとの交渉をスタートした。
アンドレッティは検討の末にホンダ陣営にとどまることにしたが、琢磨はその前にレイホールへの移籍の決意を固めていた。
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