ホンダF1 ついにレッドブルと契約確実に!! それでも「契約は1年早い」理由

ホンダF1 ついにレッドブルと契約確実に!! それでも「契約は1年早い」理由

ついにビッグニュースが実現へ! F1復帰4年目を迎えた2018年、ホンダはトロロッソと新たに契約し、ここまで6戦で最高位4位、直近のモナコGPでも7位入賞と上々のスタートを切った。そして、かねてより報じられているトロロッソの“兄貴分”強豪レッドブルとホンダの契約がほぼ確実な状況となった。

トロロッソとの契約時から“レッドブル・ホンダ”の可能性を指摘していた津川哲夫氏が、気になる契約決定時期を解説。同時に津川氏は「レッドブルとの契約は1年早い」とも指摘する。ホンダにとって、この契約は今後の命運を握る鍵となりそうだ。

文:津川哲夫
Photo:RedBull Content Pool


「レッドブル・ホンダ」決定はカナダGP後

ルノー
ともにルノーエンジンを搭載するルノーワークス(前)とレッドブル(後)のマシン。2016年にワークスチームとして復帰する以前は、レッドブルがルノーの事実上ワークスチーム扱いだった

レッドブルのダニエル・リカルドがモナコGPを完勝で制覇したが、実はレッドブルとルノーの関係は冷えきっている。

レッドブルの憂鬱は来季パワーユニットの選択。ほぼホンダに決まっているはずだが、その決定はカナダGP(6月10日決勝)後という。

基本的にレッドブルはルノーを見限っている。しかし「ではホンダ」と短絡的に移行できないのが悲しいところ、事実上選択肢はホンダしかないのだが。

2014年以降、ルノーとレッドブルの関係は険悪となった。それまではレッドブルが事実上の“ルノーワークス”で、開発もレッドブル主体で行ってきた。

しかし、ルノーF1チームがワークス化し、そのステータスは奪われ、かつルノー側の開発スピードが極めて遅いことがレッドブルを苛立たせた。開発は遅々として進まず、信頼性も低い。今季、その信頼性ではホンダに抜かれている始末だ。

ルノーは規則の変わる2021年を目指し、現在のパワーユニット開発は最低限で済ませようとしている節があり、未だに熱エネルギー回生ユニット(MGU-H)と運動エネルギー回生ユニット(MGU-K)に関わるトラブルが多い。

モナコでもリカルドの運動エネルギー回生ユニットが上手く働かず、実は結構な綱渡りでの優勝であった。

今後レッドブルは、フェラーリ・メルセデス同様に“ワークス”ルノー F1チームからライバル視され、もはやルノーを選択しても現状以上のメリットはあり得ない。レッドブルの立場は極めて危うい。だからこそ、選択肢はホンダしかないのだ。

ホンダとレッドブルの契約決定が延びている理由

レッドブル
今季からホンダエンジンを積むトロロッソとルノーエンジンを積むレッドブル。リアウイングのアストンマーチンは今年からメインスポンサーとなったが、エンジン開発などには関与していない

では、なぜホンダとレッドブルの契約が延びに延びているのか。“大人の事情”で、そう簡単にはいかないというのが現実だ。

その多くは政治的な駆け引き。ホンダはトロロッソとワークス契約を結んでいる。となると、レッドブルは“カスタマーチーム”になる。

もちろん、トロロッソはレッドブルのジュニアチームだから立場の交換は可能。レッドブルが表向きに搭載パワーユニットを決定しないのは、2社を天秤にかけているから。単にパワーユニットの問題ではなく、ルノーとホンダの双方を牽制し、レッドブルが選択権を持っている形に見せているのだ。

実際は、どちらのサプライヤー(=ホンダ、ルノー)も、レッドブルにそっぽを向く権利がある。

したがって、むしろレッドブルが追いつめられていて、現在の姿勢は2択が可能というポーズを維持し、契約で上手を取ろうとする「レッドブル必死の見栄」と見えなくもない。

そもそも、ルノーにしてもホンダにしても、基本は僅か3基のパワーユニット(※マシン1台の年間使用可能数上限)。いくら契約が遅れても痛くもかゆくもないはずだ。

問題はルノーワークスチームにトップを争う戦闘力がなく、マクラーレン(ルノーPU)も同じで、レッドブルを手放せばルノー陣営の成績は、ガタ落ちとなるのが目に見えていること。

これはルノーF1チーム5年計画に水を注す。この停滞・後退はルノーのシナリオにはなく、こうなるとレッドブルを陣営に留めておくことが極めて重要になる。実はルノーも必死にレッドブルを確保しようとしているのだ。

レッドブルはホンダという選択肢を持ったことで、ルノーに対してまさに上手を取ったので有利な契約を結ぶことができるはず。では、ホンダは単にルノーに対する当て馬か?

次ページは : ホンダは圧倒的有利な状況にある

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