インプレッサ、スイフト……2016年新車 ベスト&ワーストモデルチェンジは?

インプレッサ、スイフト……2016年新車 ベスト&ワーストモデルチェンジは?

2016年にフルモデルチェンジを行った車種のなかから「最も大きく進化した」モデルと、反対に「最も進化度が低い」モデルを選出する本企画。国沢光宏、渡辺陽一郎、片岡英明の3氏が厳しくジャッジする。

文:国沢光宏、渡辺陽一郎、片岡英明/写真:ベストカー編集部



対象の車種はこの8台


今回対象となるのは2016年中にフルモデルチェンジを行った全8車種。そのリストは下記のとおりだ。さて、3氏の評価はいかに!?

2016年フルモデルチェンジ車

















































メーカー 車名 発売日
TOYOTA パッソ 4月12日
NISSAN セレナ 8月24日
HONDA フリード/フリードHV 9月16日
HONDA フリード+/フリード+HV 9月16日
HONDA NSX 8月26日
MAZDA CX-5 12月15日
SUBARU インプレッサスポーツ&G4 10月13日
SUZUKI スイフト 12月27日

国沢光宏のベストFMC……インプレッサ


やはり「進化度」からすれば圧倒的にインプレッサだと思う。今や「事故に対する性能」は自動車に求められる一番大きな性能だと考える。


新しいインプレッサは一番大切な性能を磨いた。なかでもすばらしいのが、事故を未然に防ぐための自動ブレーキと「他人」である歩行者を守るためのエアバッグを全グレードに標準装備したことだ。


この2つ、自分を守るというよりクルマという危険を伴う道具の加害性を少しでも減らそうという良識(インテリジェンス)から出ている。ほかの自動車メーカーの役員や車両開発担当者と自動ブレーキの話をすると「価格競争力の点で厳しい」みたいな話になるけれど、いろんな意味で考えさせられます。加えて新型インプレッサはサイド&カーテンエアバッグを標準装備したうえ、ボディの衝撃吸収能力も高めた。


2番手に選んだCX-5も先代モデルからの伸びしろが大きい。インプレッサと同じく自動ブレーキと、サイド&カーテンエアバッグを全グレードに標準装備化してきた。


同率の1位としてもよかったのだけれど、個人的には上端が尖ったボンネットの先頭形状に疑問を感じている。150cmの歩行者に背後から当たった時のダメージ、チェックしているのだろうか? 歩行者安全をもう少し考えれば新型インプレッサのレベルに届く。


国沢光宏が選ぶFMC大賞 『スバル インプレッサスポーツ&G4』■選出理由…安全性能が大切だから!

国沢光宏のワーストFMC……パッソ/ブーン


ワースト1のパッソ&ブーンは、自動ブレーキの性能だけみても理由がわかっていただけると思う。新型車にもかかわらず、車速20km/hプラスマイナス5km/h程度しか自動停止できない、カンペキ時代遅れのレーザー式を採用している。


おそらく新型車としちゃ最後のレーザー式自動ブレーキ採用車になることだろう。開発担当者に聞いたら、付けたことだけで納得しているようでありました。トヨタから技術をもらえばよかったのに。


国沢光宏のワーストFMC『パッソ/ブーン』■選出理由…作動速度領域の狭い自動ブレーキ

国沢光宏の進化度評価




































インプレッサスポーツ&G4 100点
CX-5 95点
NSX 80点
スイフト 80点
セレナ 70点
フリード/フリードHV 60点
フリード+/フリード+ HV 60点
パッソ/ブーン 30点

渡辺陽一郎のワーストFMC……NSX
新型8車の採点基準は「フルモデルチェンジの進化度」だから、先代型と比べた時の評価になる。そうなるとパッソ&ブーンは得点が高い。新型は注目すべき車種ではないが、先代型の商品力が低かったからだ。

先代型はグローブボックスを省いたため車検証は荷室のポケットに突っ込んであり、シートのサポート性も悪い。操舵感も曖昧で、路上の駐車車両を避ける時も気を使った。これらの強烈な欠点が現行型は解消され、それでも推奨できるクルマではないが進化度は78点とした。

NSXは評価がさらに下がる。機能は先進的で走行性能も優れ、生粋のホンダファンなら2370万円の価格も納得できるだろう。

しかし、実質的に買えない。2017年1月中旬時点で、2019年3月の納車枠まで埋まり、それ以降の受注開始時期は未定だ。従ってNSXの情報は、メーカーのホームページには掲載されるが販売会社の多くは削除した。「売っていないから掲載できない」という。進化度は1点だ。


渡辺陽一郎のワーストFMC『NSX』■選出理由…すでに2年以上先の納車枠まで埋まっていて、実質的に現在買えない


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渡辺陽一郎のベストFMC……スイフト
いっぽう、大賞にはスイフトを選んだ。

先代型は緊急自動ブレーキが採用されず設計の古さが目立ったが、新型の安全装備は歩行者も検知する。100kg以上の軽量化が達成され、前席の座り心地も向上した。外観も含めてライバル車と比べた時の個性が際立つ。

インプレッサも走行安定性と乗り心地のバランス、安全装備を充実させて優れたクルマになったが、進化度はスイフトが若干勝る。

 


渡辺陽一郎のベストFMC『スイフト』 ■選出理由…インプレッサと僅差だが、先代比の進化度でスイフトを大賞とした

渡辺陽一郎の進化度評価




































スイフト 84点
インプレッサスポーツ&G4 83点
パッソ/ブーン 78点
セレナ 70点
CX-5 68点
フリード/フリードHV 50点
フリード+/フリード+ HV 30点
NSX 1点

片岡英明のベストFMC……インプレッサ


ライバルから頭ひとつリードしたのはインプレッサ。プラットフォームを新設計し、パワーユニットやサスペンションも大幅に進化させた。ボディはシャキッとしているし、ハンドリングも大人っぽい。そして乗り心地も上質だ。

新型インプレッサはクラスを超えた走りの質感を身につけている。ファミリーカーとしてのバランス感覚は絶妙。

改良された水平対向4気筒エンジンとCVT、これも気持ちいい走りを生んでいる。また、静粛性も大きく向上した。

先進安全装備の充実、これも高く評価できるところだ。アイサイトに加え、新たに歩行者保護エアバッグまで標準装備した。安全性能は世界トップレベルにあり、国産のライバル勢の追随を許さない。

また、スイフトはインプレッサと同じくらい進化し、魅力を広げている。こちらも新しいプラットフォームを得て走りに磨きがかけられていた。加えて、パワーユニットも進化が見て取れる。デザインもフロントマスクを中心に、かなり変わった印象を受けた。


片岡英明のベストFMC『インプレッサ』 ■選出理由…大賞を一台あげるならインプレッサ。しかし、スイフトもほぼ同レベルの進化度だ

片岡英明のワーストFMC……NSX


プロパイロットを採用して注目を集めた日産のセレナは安全装備に関していま一歩の頑張りが欲しかったというのが率直な印象。

欧州勢がすばらしいものを出しているだけに、もう少し実用的で安心して使えるものを出してほしかった。そうすれば、もっと高い評価を獲得できたはずだ。

セレナ以上に残念だったのは、鳴り物入りで登場したNSXである。

初代モデルは軽量化に並々ならぬ努力を払っていた。今度のNSXはハイブリッドシステムを採用したこともあり、クルマが重い。また、デザインもインパクトを欠くなど、スーパーカーとしてのオーラが感じられないのが弱点だ。


片岡英明のワーストFMC『NSX』 ■選出理由…初代に比べて重くなってしまった点、スーパーカーとしての存在感も弱い

片岡英明の進化度評価




































インプレッサスポーツ&G4 82点
スイフト 82点
セレナ 77点
フリード/フリードHV 75点
CX-5 75点
NSX 72点
フリード+/フリード+HV 70点
パッソ/ブーン 65点