21年ぶりフルチェンジ! 新型「スーパーグレート」試乗会レポート

21年ぶりフルチェンジ! 新型「スーパーグレート」試乗会レポート

ディーゼルトラックの新しい排出ガス規制に合わせ、三菱ふそうは大型トラックのスーパーグレートをフルモデルチェンジする。5月の正式発表を前にして、栃木県にある同社の喜連川テストコースで、実験車両による事前試乗会が実施された。実際に新型スーパーグレートのステアリングを握り、いくつものセクションで走らせてみると……。そのフットワークの軽さと数々の最新電子装備に驚いた!


文・写真:バスマガジン編集部



ポスト・ポスト新長期排出ガス規制対策として新型車を開発


車両総重量(GVW)が3.5tを超えるディーゼル重量車(トラック・バス)の排出ガス規制が強化される。いわゆる「ポスト・ポスト新長期規制」と呼ばれるもので、NOx排出基準を現行の「ポスト新長期」に比べ約40%削減する規制強化だ。新型車の場合の適用開始時期は、GVW 7.5t以上の大型トラック(バス)が2016年10月1日、GVW 3.5~7.5tの小・中型トラック(バス)が2018年10月1日、継続生産車はそれぞれ1年遅れと決められている。つまり、大型トラックの現行モデルは今年10月以降に販売される新車から新基準適用となるため、大型車メーカーの各社から相次いで新基準適合車の発表が予定されている。

その先陣を切って新型車をアナウンスしたのがスーパーグレートだ。新しい排ガス規制への対応として、三菱ふそうは大型トラックのフルモデルチェンジに踏み切った。現行モデルの登場が1996年だから21年ぶりのニューモデルだ。正式発表は5月中旬であり、それに先立ちホームページで新型車のイメージ画像を公開するティザーキャンペーンを展開したのに続いて、ダウンサイジングエンジンや新開発AMTといった最新技術を順次発表している。

そして、いよいよ実車の試乗会である。喜連川に姿を現したのは、カムフラージュ柄を身にまとった新型スーパーグレートの実験車だった。2014年に開発をスタートさせ、テストコースでの実験走行はもとより、日本国内および高低差の大きい南アフリカなどで合計500万kmにもおよぶパワートレーンや冷却系の耐久テスト走行を繰り返したという。その車両が試乗会に運び込まれたのである。


迷彩柄で登場したのは国内外で500万kmもの耐久走行を行った実験車。ブレーキペダル解放後、数秒間は制動力を保持するヒルホルダー機能が新設定され、勾配のあるステージではクリープ機能を利用した容易な坂道発進も体験した

注目の省燃費&軽量化エンジン


新型スーパーグレートでまず注目されるのはダウンサイジングされた新エンジンだろう。現行車は排気量12.8Lの6R10型を搭載しているが、新型は新開発の10.7Lの6R20型と7.7Lの6S10型の2機種がラインアップされる。いずれも、すでにヨーロッパで販売しているメルセデスベンツ製エンジンのプラットフォームをベースとして日本市場向けに開発されたもので、6R20型には最適化されたアシンメトリックターボ、6S10型は2ステージターボとの組み合わせにより、小排気量ながら大型トラックとして充分なパワー&トルクを実現している。

この新エンジンの最大のポイントは「軽量化」である。現行型スーパーグレートは燃費性能には定評があるものの、車両重量でライバル車にやや遅れを取っていたのは否めないところ。車両が重くなれば相対的に積載量が少なくなるわけで、ダウンサイジングエンジンは最重要テーマでもあったのだ。新型車は、エンジンで最大540kg軽量化、さらにミッションやボディを合わせて最大815kgの軽量化を実現している。また、新開発ミッションなどの効果も加わり、燃費は5~15%向上したという。

なんと全車AMTを搭載! MTは消滅する!!


新エンジン以上に驚いたのがミッションだ。すべての車型に2ペダルのAMTが搭載される。MTは設定さえない。三菱ふそうは、大型路線バスで全車AT化という思い切ったラインアップを展開しており、それに続く大胆な2ペダル戦略といえるだろう。大型トラック、バス業界は構造的なドライバー不足に悩まされており、その対策としてMTに比べて運転操作が容易で安全性も高く、ドライバーの技量による実燃費の差がでにくい2ペダルの導入は時代の趨勢とも言われている。ただ、MTに"誇り"を持っているベテランドライバーも多く、また事業者サイドでのMTの"燃費性能神話"も根強い。スーパーグレートの全車2ペダル採用ははたして業界でどう評価されるだろうか。

 

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進化したAMTを体感! まさにイージードライブ


さて、いよいよ新型スーパーグレートに試乗する。まず実感したのは、「シフトパイロット」とネーミングも一新されたAMTのフィールの良さ。シフトアップのショックが少なく、シフトレバー操作による意図的なシフトアップ、ダウンもスムーズで、従来型のAMTからかなり進化しているのがわかる。

さらに、トルコンATのようなクリープ機能が追加されたのも見逃せない。従来のAMTでは少々テクニックが必要だった微速動作が容易になる。なお、クリープ機能をオフにする「ロッキングフリーモード」も追加されている。試乗会では、スタックからの脱出も体験した。オフロードコースにスタック状態を想定した深い段差が設定されており、このモードを利用し、車体を前後に揺らしつつ、勢いをつけて脱出するのだ。新エンジンとのマッチングもよく、軽量化効果によるフットワークの軽さも新型の特徴といっていいだろう。

エンジンのパワー、トルク特性も申し分なく、高速周回路でのテスト走行では直進安定性が感じられた。あえて気になる点を挙げるとすれば、発進時に感じた低速トルクの僅かな不足だろうか。新エンジンのスペック上のパワー&トルクは十分とはいえ、やはり小排気量化の影響があるのかもしれない。


オフロードコースに用意されたのはダンプ。意図的にスタック状態を作り出したセクションでは、後輪が段差に差しかかった時にアクセルをオフするとクラッチが切れた状態になり、車体が下がったら再びアクセルオンにする動作を繰り返して段差を乗り越える走り方にもチャレンジした

 

乗用車並みの制動をみせた衝突被害軽減ブレーキ


新型スーパーグレートの特徴のひとつが充実した安全装備だ。衝突被害軽減ブレーキは、2019年に装着が義務づけられる第2段階(フェーズ2)に対応した2タイプが用意される。試乗会では、このうち最強バージョンである完全停止型のABA4(エービーエーフォー=アクティブ・ブレーキ・アシスト4)を体験することができた。事前レクチャーによると、停車車両にも歩行者にも対応する最新システムで、衝突の危険性を感知すると第1段階として警報音とウォーニング表示で警告し、ドライバーの減速操作がなければ第2段階で50%の警報ブレーキを作動、それでも何もしないと緊急フルブレーキがかかるという。

まず、停止している障害物に向かって時速45㎞で走行するデモンストレーションを助手席で体験する。ターゲットが近づくと警報が鳴り、続いてハーフブレーキ、フルブレーキが1秒ほどのわずかな時間で連続して作動するのだが、その3段階がはっきり確認できた。しかも、第2段階のハーフブレーキの効き始めがソフトに感じられる。現行車に搭載されている衝突被害軽減ブレーキAMB(エーエムビー=アクティブ・ミティゲーション・ブレーキ)は、緊急ブレーキの効き始めがハードで、まさに急ブレーキの印象が強かったのだが、ABA4は車重の重い大型トラックでも乗用車並みのスムーズなブレーキだと感じられる。

先行車との車間距離をミリ波レーダーで感知、制御する「車間距離保持機能付きオートクルーズ」も新機能。先行車に合わせて減速、停車するだけでなく、停車後2秒以内に先行車が発進したら、合わせてリスタートする機能も備えている。こちらは実際に運転席でテストした。同乗の開発スタッフから、「(自動ブレーキがキャンセルされるから)エキブレ(エキゾーズト・ブレーキ=排気リターダー)は使わないように」と言われていたものの、大型車の減速時にエキブレを作動させるのがほとんど習慣になっているので、それをこらえるのに少々苦労した。自動ブレーキの機能は秀逸だが、大型車ドライバーにとって慣れが必要かもしれない。


ヨーロッパで販売しているダイムラートラックの最新モデルに搭載されているABA4が新型スーパーグレートにも採用される。乗用車に近いフィーリングの衝突被害軽減ブレーキが大型トラックの安全性向上に大きく寄与するはずだ

 

数々の最新テクノロジーを集結!


自動ブレーキのほかにも、車体左側の死角となる箇所をレーダーによりモニタリングし、歩行者や自転車あるいは左側の車線を走行する自動車の存在を警告する「アクティブ・サイドガード・アシスト」、オートクルーズを使用中にGPSと3D地図情報によって、先方の道路勾配を予測して省燃費に最適なアクセルワークを実践する「パワートレイン3D予測制御」、従来の運転注意力モニター機能を発展させ、新たに追加した赤外線カメラシステムによりドライバーの注意力低下をブザーと画面表示で警告する「アクティブ・アテンション・アシスト」など、安全性と省燃費を向上させる数々の最新の電子装備を採用している。

三菱ふそうによると、今回の試乗車は実験車両だったが市販車では運転席のシートを改善して乗り心地を大幅に向上させるとともに、キャビンの防音対策を施し、ベンツの乗用車Cクラス並みの静粛性を実現したという。価格競争に陥りがちな大型トラック業界に、さまざまな付加価値を引っ提げて登場する新型スーパーグレートが一石を投じるかもしれない。

 

 

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