2012年2月に発表されたFRスポーツカーのトヨタ86/スバルBRZ。前年に開催された東京モーターショーで展示され、一般公開日には86/BRZを見るのに1時間以上という行列ができたことを今でも鮮明に覚えている。
発表後、86/BRZを公道試乗した際にドリキンこと土屋圭市氏は、
「フツウのクルマは新車が発表されたときにしか、注目されない。でもスポーツカーは新車が発表されたとき、そして中古車が手頃な値段になったときにもう一度注目される。
この86/BRZも新車はおじさんがノーマルのまま乗って楽しんでもらって、安くなった中古車を若い子がチューンして楽しむ。早くそうなってもらいたい」。
ドリキンが8年前、86/BRZが登場したときに発した言葉が、2020年ようやく実現しようとしている。86/BRZに100万円以下という手頃な価格で手に入る中古車が流通し始めたからだ。
そこで、86/BRZの中古車はいまどうなっているのか? モータージャーナリストの萩原文博氏が中古車相場を調査! はたして今が買い時なのか、徹底解説する。
文/萩原文博
写真/トヨタ ベストカー編集部 ベストカーWEB編集部
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現行国産スポーツカーのなかで圧倒的に多い流通台数
トヨタ86/スバルBRZは2012年2月に発表、 BRZは3月28日 、86は4月6日から販売開始した。「直感ハンドリングFR」をコンセプトに、全長4240mmというコンパクトなボディに低重心なスバルの2L水平対向エンジンを搭載した、後輪駆動のみというピュアスポーツカーだ。
86とBRZは兄弟車という位置づけとなっているが、走りの味付けやグレード構成などが異なっているのが特徴。またレース仕様車やスペシャルモデルなど、ざまざまなモデルが設定されている。
2012年4月に販売開始以降、ほぼ毎年のように一部改良が加えられているが、大幅なマイナーチェンジ(以下MC)は2016年7月に行われている。
内外装の変更に加えて、6速MT車は吸排気系にチューニングを施し、最高出力7ps、最大トルク7Nm向上させている。
また、リアピラーにスポット増しを行い、ボディ剛性を向上させると同時に足回りの改良を行うことで、走行安定性とコーナリング性能を向上させている。便宜上このMC前を前期型、MC後を後期型と呼ぶことにする。
トヨタ86の中古は前期型が圧倒的に多い!
それでは、兄弟車として登場した86/BRZの中古車事情をそれぞれ見てみたいと思う。
まずは、トヨタ86からだ。現在86の中古車は約950台流通しており、モデルライフが長いといっても現行型国産スポーツカーのなかでは圧倒的に多い。
そのうち2012~2016年式の前期型が約700台、2016年式以降の後期型が約250台と圧倒的に前期型が多くなっている。
流通台数は3カ月前の時点が約920台だったが、その後いったん年明けにピークとなる約1100台を記録。
その後、減少し現在の約950台となっている。流通台数に動きはあったものの、中古車の平均走行距離はこの3ヵ月の間ほぼ約3.8万kmで横這い。そして中古車の平均価格も約192万円から約190万円と小幅な値動きにとどまっている。
続いて、86の中古車の価格帯を見てみる。現在86の中古車の価格帯は約75万~約745万円と非常に幅が広い。
その理由の一つとして、高価格帯に14R-60やGRMNといったスペシャルモデルが流通しているからだ。
その一方で100万円以下の中古車は約13台。走行距離が10万キロオーバーや修復歴有りなどそれなりの理由が挙げられるが、86の100万円以下の中古車のほとんどがAT車なのである。
100万円以下中古車でMT車となるとわずか2台しかない。MT車をじっくり比べて選びたいとなると、予算150万円は考えてもらいたい。
86の中古車のグレード構成は最も多いのが、2.0GTで約550台と実に半数を占めている。続いて多いのが上級グレードの2.0GTリミテッドの約215台、そして2.0Gとなっている。
また86はスペシャルモデルや特別仕様車も数多く発売されていて、そのなかでも100台限定の14R-60は3台流通していて、価格帯は約474万~約598万円。なかには走行距離356kmという新車並みのコンディションのクルマもある。
そのほかではエクステリアを大幅に変更したスタイルCbは6台流通していて、価格帯は約169万~約255万円となっている。
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