アウトランダーPHEVやエクリプスクロス、少し前だとRVRまで、三菱にはSUVがたくさんある。ただ、三菱が「SUV」と言い出したのはつい最近のこと。背が高くて、大きなタイヤを履いていて、AWDで多目的に使えるクルマを、三菱では長らく「四駆(ヨンク)」と呼んでいたのだ。パジェロもチャレンジャーも、三菱的に言えば四駆だった。四駆からSUVへ、呼び方を変えたクルマが初代エアトレックだ。コイツがまさしく隙の無いクルマだったのである。三菱初の「SUV」、エアトレックの中身を見ていこう。
文:佐々木 亘/画像:三菱
【画像ギャラリー】赤シートカッコよ!! ランエボSUVの全貌を一挙に(18枚)画像ギャラリーテーマは全方位SUV
2001年に登場したエアトレックは、ダイムラー・クライスラー社との提携後に掲げた、三菱ターンアラウンドプランの具現化車、第一号だ。三菱として初めてSUVというカテゴリーで登場させたクルマである。
開発にあたり、ミニバンの持つ日常的な使いやすさ、ステーションワゴンの持つスポーティな走り、十分なオフロード性能の3要素を満たすことがテーマとなる。まさに、全方位的なSUVを誕生させることが、エアトレック開発の命題であった。
この命題に対する回答は、ボディサイズから既に見て取ることができる。最低地上高は195mmと十分なロードクリアランスを確保し、オフロード性能を維持したまま、全高を1550mmに抑え、立体駐車場への入庫を可能にしている。
この2つの要素を両立するクルマは少なく、エアトレックはボディサイズで一歩優位に立つ事ができた。全高を抑えたことで、重心が下がり、結果としてオンロードの走行性のも高まったのは、想定外の副産物だろうか。
ただ、発売翌年にはランエボと同型の2.0Lターボエンジン(4G63型)を搭載したターボRを追加したところを見ると、オンロードの走行性能は狙って高められたようにも見える。
発売当初の価格は、170万円~230万円と車格の割に低価格だったのも魅力の一つ。走り・質感・価格と、全方位に隙が無いクルマとして仕上げられたのだ。
ターボRは今でも乗りたい名車!
エアトレックで秀逸だったグレードは、2002年6月の一部改良時に追加されたターボRだ。前段でも少し触れたが、三菱の魂であるランサーエボリューションから多数の流用を受けた、エアトレックのハイパフォーマンスモデルだ。
4G63型2.0Lインタークーラーターボ付エンジンは、最高出力240PSを発生し、最大トルクは35kgmfだ。駆動方式はもちろんフルタイム4WD。車高を10mm下げており、標準モデルよりも、より低重心になったターボRは、背の高いSUVとは思えないハンドリングと強烈な加速感を実現している。
ミッションは他のモデルが4ATなのに対して、ターボRは5ATのINVECS-Ⅱが搭載された。これもランエボからの流用である。航空機のメーター回りを彷彿とさせるインパネ周りも相まって、見た目のイメージよりも走りへの本気度合いが強く感じられるのが、エアトレックターボRだ。
このクルマ、実は知名度的にマイナー車の立ち位置のため、中古車価格がそれほど高騰していない。約20年前のモデルということもあり、7万キロ以下の個体でも支払総額50万円そこそこで買えてしまう大穴中古車である。
走りはランエボ、使い勝手はRV、ボディサイズはステーションワゴン(立体駐車場可)と、まさにスポーツユーティリティビークル(SUV)そのものだ。三菱初のSUVエアトレックは、超本気のSUV。20年経っても乗りたくなる、魅惑のクルマなのである。




















コメント
コメントの使い方2Lノーマルに14年25万キロオーバー乗ってました
故障知らずセミオートマチックを使っては走りを楽しんでましたよ
これが失敗したからデリカD:5みたいな車が力入れて作られ、独特のエクステリアを獲得できました。
もしもこれ売れてたら、三菱もMPVみたいな車を作り続け、今みたいなコアな人気は得ていなかったのでは。
なにが良い方向に転ぶかわかりませんよね。