近年の軽自動車のトレンドは、ルーフが高く室内空間が広いものだ。2024年度販売ランキングトップ3のN-BOX・スペーシア・タントは、全てトールワゴンである。この背高軽自動車の元祖とも言うべきクルマが、三菱にある。背が高い人を表現する、日本語の「ノッポ」に引っ掛けた車名の、三菱トッポシリーズを振り返っていこう。
文:佐々木 亘/画像:三菱自動車
【画像ギャラリー】背が高くても安定しているのはアニメ同様!? スペース効率神! 歴代三菱 トッポ!(12枚)画像ギャラリートールワゴンの元祖は1990年に登場
初代ミニカトッポが誕生したのは、1990年のこと。エンジン・駆動系・シャシー・ボンネット等を6代目ミニカと共用にして、ルーフを思いっきり上に伸ばしたクルマだ。サイドビューは左右非対称で、助手席側のドアが、運転席側よりも大きくなっている(後席へのアクセスのため)。
1993年には2代目へフルモデルチェンジ。フロントデザインの変更やホイールベースの延長は、7代目ミニカに合わせて行われた。ちょっとレトロ調なタウンビーが設定されたのも、この世代だ。
ミニカトッポは乗用車とバンの2種類が用意され、バンは様々な配達業で重宝される存在となる。頭上空間が広かった分、軽自動車特有の狭さを感じにくかった、魅惑のパッケージングが特徴的だった。
ミニカの名を捨て独立したビックジョイワゴン
1998年に登場したのが、トッポBJ。車名についた「BJ」はビッグジョイワゴンの略だ。全高はルーフレール込で1740mmとライバルよりもひときわ高く、ミニカよりも座面が高く設定されているのにもかかわらず、ヘッドクリアランスには大きな余裕があった。
また、後席のレッグスペースもクラストップレベルという、室内空間の広さでは敵なしの存在。
身長177cmの筆者が運転席に乗っても、頭上に握りこぶし2つ分程度の余裕があり、窓が大きくて視界が開けていることから、ノア・ヴォクシーなどのミドルサイズミニバンに乗っているような感覚になる軽自動車だった。
エンジンには、軽自動車ではじめて希薄燃焼方式(リーンバーン)エンジンを搭載した。660㏄の直列3気筒SOHC12バルブECIマルチの3G83型は、シンプルな構成ながら、優れたコストパフォーマンスを実現する、低環境負荷型エンジンだ。
また、直列4気筒DOHC20バルブインタークーラー付ターボ搭載の4A30型エンジンを搭載し、エアロパーツをあしらったRグレードも準備されている。トッポBJには先代の商用モデルのイメージは無い。スポーティさと快適さが融合されたトッポは、アグレッシブなクルマへと生まれ変わったのだ。
トッポの名が復活!背は高いけど安定感のある走りが魅力
トッポBJが2004年5月に生産を終え、三菱のラインナップからトッポの名と全高1550mmを超える軽トールワゴンが消えてしまったが、4年後の2008年に復活する。その名はトッポ。ベースは先代までのミニカからeKワゴンへ変わり、大きく進化した。
顔周りはeKワゴンからの流用だが、サイドドアやリアゲート、ルーフ等の外板は先代のトッポBJから流用されているため、見た目の印象はトッポBJと大きく変わらない。
しかし、実用性は大きく上がった。フロントシートはベンチタイプに変わり、リアシートはクッションを柔らかくし、左右独立6段階のリクライニング機構を装備。ただ残念なことに、先代のトッポBJのような後席のレッグスペースは無く、膝まわり空間が120mmと狭かった。
eKワゴンよりも高められた全高に対応するため、スプリングなどの足回りは専用チューン。座面の低さがもたらす低重心と、硬めのサスペンションセッティングにより、トールワゴンにありがちな不安定な挙動を抑え、高い走行安定性を確保していたのは、「素晴らしい」の一言に尽きる。
日産デイズやサクラと兄弟車になるeKシリーズも良いクルマだが、やはり三菱には独自に軽自動車を作ってほしい。昨今ではデリカミニがPRの良さもあって好調に売れており、今後の軽自動車ラインナップにも、期待が持てるだろう。
三菱の軽自動車に期待したいことは山ほどある。トッポやパジェロミニの復活など、歴代軽自動車の再登場、ありますよね三菱さん!















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