クルマを運転中、運転操作に関する同乗者のひとことにイラっとする、もしくは、助手席に座っていて、思わずいってしまったひとことで喧嘩になってしまった、という経験はないだろうか。
右折待ちで「いま行けたよね」とか、目的地へ向かう途中で「あ、ここ曲がったほうが早いのにー」と、言っているほうからすれば、雑談の範疇であったり、親切心からの発言なのかもしれないが、運転者としては、運転中にあれこれ指摘をされるのは、普段から素直に人の意見を受け入れられる人であっても、イラっとすることもあると思う。「運転中の口出し」について考えてみよう。
文:エムスリープロダクション、吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_Photographee.eu
写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA、MAZDA、SUZUKI、Adobe Stock
「下手くそ」といっているようなもの
「運転操作について指摘をする」ということは、夫婦や交際中のカップル、親子や友人など、それなりに、親しい仲であることが予想される。「上司が部下に」というパターンもあるだろう。
また、「口出し」の内容については、ネットのコメントなどを調べてみると、「ブレーキが遅い」や、右折待ちで「いま行けたでしょ」という運転操作に対する指摘から、運転手が一時停止で左右を確認するまえに「いま来てないから、早く行って!!」といったアクションを促すもの、また、助手席から勝手にクラクションを鳴らしてきた、という、「口」にとどまらずに「手」を出してきた、というものまであった。
冒頭でも触れたように、これらは、発言者に悪意はなく、「いい道を教えたかった」という親切心や、単純に自分が危ないと思ったことで発してしまった言葉であることが多いと思うが、言われた側とすれば、「下手くそ」と否定されている気がして、いい気はしない。
運転操作のタイミングは人によって微妙に違うものでは??
人間はそれぞれ違う生き物であり、運転に関する判断力や危機管理能力、これまでの経験などが、皆少しずつ違う。なので、たとえば「ブレーキを踏むタイミング」などは、(もちろん微妙な誤差の範囲で)それぞれ違うのは仕方のないこと。もちろん、ブレーキは早いタイミングで踏み始めたほうがいいし、ブレーキが遅いドライバーがいるのはわかるが、自分のタイミングを「正」とするのは、ちょっと違う気がする。
助手席に座ると、運転者と同様の視界となり、自分が運転しているときと同じ感覚になる。しかし、実際には操作していないので、運転者の感覚はわかっているようでわかっていないこともあると思う。にもかかわらず、自分のタイミングと運転者のタイミングが合わないことに違和感を覚え、それが親しい間柄であればふと言葉が出てしまうのだろう。
「運転中」という状況を理解していない
また、(前述のネットでのコメントにあった)右折待ちでの「いま行けたよね」という発言は、「いま行けたよね」といわれた状況がどんな状況だったかはわからないが、いずれにせよ、「右折」という事故の多いシーンにおいて、違反や事故になるかもしれないことを無責任に口出しすることは、ドライバーとして失格だし、それを(しつこいが)事故の多い右折待ちのシーンで(運転者が助言を求めていないのに)口出ししてしまうことも、運転者の状況を理解していない発言だと思う。
また、「あ、ここを曲がったほうがよかったのに…」という発言は、親切心でしかないだろうが、運転者が迷いなく運転しているのであれば、一切を任せるのが同乗者としてやるべきこと。ブレーキを踏むタイミングについては、その人が過去に追突事故をした(もしくはされた)経験があって、それがフラッシュバックするために、つい言ってしまう、ということもあるだろう。また、免許をもっていても普段あまり運転しない人は、運転している人の気持ちや状況がわからないため、つい口に出していってしまう、ということもあるかも知れない。
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