3月はひな人形、5月はこいのぼりというように、季節の行事は昔も今も変わらない。5月は端午の節句だったので、関連したイベントをバスで訪ねてみた。毎年のことなので、お出かけの参考にしていただきたい。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)
■殿町中学生鯉吹かし<三重県松阪市>
三重県松阪市にある日本100名城のひとつ松坂城跡に近く、三重交通の「市民病院前」バス停から西に歩くと見えてくる阪内川(さかないがわ)で行われたのが「殿町中学生鯉(こい)吹かし」というイベントだ。
これは殿町中学生の生徒および関係者団体により毎年4月中旬から行われているものだ。今年で24回目となる。寄付された鯉のぼり68匹が泳いでいる姿は圧巻だ。道路から見るのはもちろん、堤防を降りることができるので、下から見上げるのも雄大だ。
すぐ横はバス路線なので、バス車窓から鯉のぼりを見ることもできる。まさに季節を感じ取れるポイントだ。期間は例年5月上旬までとなっているので、主に大型連休中に松阪市を訪れることがあればご覧いただきたい。
■春のそうぶんに行こうよ!こいのぼりがいっぱい!!<三重県津市>
次は三重県の県庁所在地である津市だ。近鉄津駅西口から三重交通で「総合文化センター前」バス停下車。目の前に見えてくる大きな建物が三重県総合文化会館である。「そうぶん」と呼ばれ親しまれているが、当地の中庭で季節ならではのイベントが行われている。
「春のそうぶんに行こうよ!こいのぼりがいっぱい!!」というイベントで、今年で18年目ということである。4月中旬から5月上旬まで三重県総合文化センターの広場、そしてメインエントランスの通路上の2ヶ所に約140匹のこいのぼりが泳ぐ。この日も多くの来館者が空を見上げながらスマホで撮影を行っていた。
ちなみにここに泳ぐこいのぼりも、県内外から寄贈されたもので、飾られなくなった「こいのぼり」の寄贈を引き続き募集している。文化センターには駐車場やカフェが整備されているので、車で見に行くことも可能だが、駅からバスで約4分とアクセスは抜群なので三重県にお越しの際は松阪市同様、雄大なこいのぼりをご覧いただきたい。
■こいのぼりフェスティバル<静岡県沼津市>
最後は静岡県沼津市である。市内を流れる狩野川(かのがわ)、の左岸河川敷に広がる狩野川緑地で毎年大型連休中に開催されているのが「こいのぼりフェスティバル」である。今年で40回を数える歴史をもち、期間中にはふれあいイベントとしてワークショップやふれあい動物園、キッチンカーも登場する。
筆者が訪れた日はイベントのなく、青空が望めない日だったが、それでも時折親子連れが泳ぐこいのぼりを見に訪れていた。ここには風変わりな鯉のぼりが2つ泳いでいる。まず1つ目はカラフルな10色の鯉のぼり「Aqoursのぼり」である。
これは沼津市を舞台としたアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」のキャラクターたち9人のグループ名「Aqours」のことであり、それぞれメンバーカラーの鯉のぼりに地元保育園の子供たちの手形がこの鯉のぼりのウロコのように表現されている。
Aqours9人と主人公、高海千歌の家に住むペットのしいたけを加えて10匹の鯉のぼりというわけである。そしてもう1つはこの奇妙な魚である。沼津市は駿河湾に面し、海産物が非常に豊かであるが、その加工品として有名なのが干物である。特にアジの干物は人気で港近くの店を歩くとどこにも店先に実に様々な干物が置かれているが、店によって異なる製法で味わいも違えば価格もリーズナブルでとてもありがたい。
そしてそのアジの干物がこうして鯉のぼりならぬアジのぼりとして泳いでいるのである。干物が泳いでいるのは恐らく沼津市だけではないだろうか。鯉のぼりの向こうには御成橋が架かっており、ラブライブ!サンシャイン!!のラッピングバスが行き交う姿を見ることができた。
川の反対側になるが、東海バスおよび伊豆箱根バスの「上土(あげつち)」バス停で下車すると会場はすぐそこだ。駅からのんびり歩くこともできるので、季節が合えば散策がてらこいのぼり見物もいいだろう。