新エネルギー車の超大国となっている中国の福田汽車(FOTON)は小型BEVトラックで日本市場への参入を発表しているが、本国では傘下の福田CAVANが新エネルギー専用の大型トラック「ビーコン」の量産化を発表した。
これまではコンセプト車であったビーコンは、BEVと燃料電池の両方に柔軟に対応する大型プラットフォームで、量産車としてはおそらく世界初となる液体水素バージョンも登場する予定だ。
ディーゼル車を超えるポテンシャルを秘めた液体水素の大型トラックに注目が集まっている。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/北汽福田汽車
FOTONが「液体水素」燃料の大型トラックを量産化
小型のバッテリーEVトラックで日本市場へ参入することが発表されている中国の福田汽車(FOTON)だが、同社傘下の福田カ文(CAVAN。「カ」は「上」の下に「ト」)は2025年12月18日、新エネルギー大型トラック「ビーコン(BEACON)」を正式に発表した。
CAVANの「ビーコン」はこれまでコンセプト車が公開されており、「純電動」「気体水素」「液体水素」の3つの新エネルギー車を同じプラットフォームで実現するとしていた。正式発表により、量産バージョンが登場することになりそうだ。
3つの新エネルギーの内、特に注目されるのが液体水素だ。常温では気体の水素を冷却し液化したもので、ドイツのダイムラー・トラックなども大型トラックの燃料として実用化を目指している。軽量でエネルギー密度が高い液体水素は、大型車の燃料として理想的な条件を併せ持ついっぽう、極低温の維持が必要となるなど、車両と供給の両面で技術的な難易度は相応に高い。
このため、液体水素を燃料とする研究が進められるいっぽう、実際の利用例は宇宙航空分野などに限られていた。福田CAVANによると、実現すればビーコンは世界初の量産型液体水素自動車になるという。
FOTONの「ビーコン」トラックとは?
ビーコンの革新性は、電気、気体水素、液体水素の3つのエネルギーに対応する柔軟なプラットフォームにあり、電動の駆動軸は5種類、燃料電池は200kWおよび300kW出力を用意する。
それを実現したのが、車両を新エネルギー専用車として「運転」「蓄電」「駆動」の3セクションに分割したレイアウトだ。これにより空間を効率的に利用するとともに、メンテナンス性を向上している。
バッテリーは225kWhから677kWh容量、水素は気体で40kg、液体で80kgを搭載可能だ。駆動系の電圧は800Vに高められ、メガワット級の急速充電により8分間の充電で走行可能距離は100km回復する。液体水素を使用する場合、1000kmの走行に必要な燃料を15分で補給可能となり、軽油と同等かそれ以上の性能を実現する。
純電動と水素燃料電池により、現在ディーゼル車が担っている運行の90%をカバーするソリューションになるそうで、航続距離1000kmという新エネルギー車にとっての「壁」も、液体水素で突破した。
量産車がどうなるかは不明だが、公開されている車両はトラクタとトレーラを一体設計したデザインで、従来型のトラックより空気抵抗を抑え、エネルギー消費を16%低減したという。
また、大型商用車で初めて音声AIモデルを導入し、大型トラックを音声で制御することを可能にした。
センサー類として7台のカメラと5台のレーダー、1台のライダーを搭載し認知ネットワークを構成しており、運転アシスト機能も豊富に備える。将来的にはこの認知ネットワークを利用した自動運転機能のアップデートも予定しているそうだ。
さらに、発表会では「灯台パートナープログラム」として、顧客による実運行を通じた品質・性能の検証プログラムも明らかにされた。大型トラック業界のリーダー100名に半年間「ビーコン」大型トラックを実際に運行してもらい、顧客のニーズに基づいて、テクノロジーを灯台にして成長するオープンエコシステムの構築を目指すという。
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