トヨタのアルミテープを実証実験 やはり効果あり!? それともオカルトなのか? 

トヨタのアルミテープを実証実験 やはり効果あり!? それともオカルトなのか? 

クルマにアルミテープを貼るだけでハンドリングなどが向上する……。そんな技術をトヨタが発表したのは2016年のこと。

チューニングパーツなどでも同様なものはあったが、なんせトヨタが言うのだからその衝撃は大きかった。ステアリングコラム、バンパーなど貼りつけると効果を感じやすい部分も発表された。

あれから数年、すっかりトヨタのアルミテープチューニングの話も聞かなくなってしまった。2018年末にベストカーWebは実験を開始。トヨタのアルミテープはいったいなんだったのか、迫ります。

文/写真:大音安弘


■トヨタが大まじめに取り組んだアルミテープ

あれは2016年秋に行われたマイナーチェンジ仕様のトヨタ86の試乗会でのこと。リリースに、記載されていなかった新技術が開発者によって紹介された。

それがアルミテープ伝説の始まりであった。きらりと光る特殊な形状のアルミ箔を見せられ、「“アルミテープ”で走りを良くする!」と説明された。

正直、半信半疑で話を聞いていたことを思い出す。ただアルミテープ技術の開発に関わらないトヨタの技術者たちも、声を揃えて、「不思議だけど、貼ると違いが出るんです」と話していた。

残念だったのが、私が試乗した日の天候は、生憎の雨模様。違いが体験しづらい環境であり、“違うような”、“変わらないような”と頭を悩ませた。

こんなテープを貼るだけで……、なんて思った人は多いはず。当時は変わったような、気のせいのような感じがしたものだ

まずは、アルミテープの仕組みを説明したい。一言でいえば、アルミテープの役割は、除電である。クルマの表面は、+に帯電し易く、空気も同様に+に帯電する。

クーロンの法則により同じ+電位なので反発力も強い。そこでアルミテープである。クルマの帯電を減らすことで、走行中のクルマが受ける空気と生じる抵抗を減らし、綺麗な流れにしてあげる。

これでスムーズな走りを実現させるというわけだ。因みに、静電気は、湿度が高いほど短時間で解消される。雨天なら、クルマの帯電が少ない状況にあるというわけだ。

当時を振り返ると開発のきっかけは、「同じ開発車両なのに、翌日の印象が異なることがある」という体験からだったそう。車両のセッティングや部品も同じ。

些細な違いは、時間の経過や洗車の有無くらいだった。そこから探りを入れ、帯電による空気抵抗の差に結び付いた。

この際、明かされたアルミテープ装着箇所は、前後バンパー、ステアリングポスト、フロントガラス、左右ドアガラスとされた。

個人的に興味深かったのは、同時期にマイナーチェンジを受けた姉妹車「BRZ」では、この点に触れられなかったことだ。実は、BRZにも同じくアルミテープは採用されている。

これはトヨタ開発の技術だったからだろう。ただ86とBRZは、マイナーチェンジでどちらも良くなったと記憶しているし、それぞれの個性も強まったので、アルミテープの効果は、あくまでエッセンスと捉えるべきかもしれない。

■愛車で実証実験 貼るだけで本当に効果はあるのか?

あれから2年たった今、改めて効果を検証すべく、私の愛車「アルファロメオ・スパイダー」にアルミテープを装着してみた。

装着したのは、トヨタ純正「テープモールディング」。前後バンパーの左右に取り付ける大きなサイズのアルミテープだ。櫛(クシ)のような形状だが、これは表面積を増やすのが目的のようだ。

前後共に、ホイールアーチの外側に縦方向に貼る。正直、見た目は、イマイチだ。86/BRZの場合は、バンパーの内側に張り付けてあるので、外観上はわからない。

実験車のアルファ・スパイダーは、ピニンファリーナによるスポーツカー的なスタイルを持つが、フィアット/アルファ・ロメオ/ランチアのCDセグメント用に開発したシャシーをベースとし、そのキャラクターはGT的。

古臭いFF車らしく、小回りも苦手だ。特にフロント重量が大きいV6モデルは、パワー先行でコーナリングなど特筆すべき点はなかった。

しかしながら、装着後の試走で、そのイメージは変化を見せる。体感場所は、幹線道路と首都高。低速域では、大きな変化はなく、前よりもコーナリングがスムーズかも……という程度で、プラシーボ効果と疑うほどであった。

効果を疑いつつもシーンによっては変わったという筆者。うーん、不思議だ

しかし、連続したコーナーを中速域で走ることが出来る首都高を走り出すと、驚かされた。コーナーは不得意と思っていた愛車が、狙ったラインを綺麗にトレースしてくれる。

ステアリングの舵角も明らかに小さくなり、コントロールしやすくなったのである。スパイダーのステアリングは大き目なので、舵角の差は感じやすい。もちろん、車庫入れなどいつもの状況で、小回りが利かない点は変わらなかった。

これこそ、アルミテープの恩恵である証拠だろう。見た目はアレだし、確認のためにもアルミテープを外そうと考えているが、少し躊躇している。

それは私自身、アルミテープのプラス効果を実感しているからに他ならない。

当時、トヨタがアルミテープ技術のPRを行い、様々なメディアが取り上げたことは、記憶に新しい。「オカルトだ」「トヨタ、大丈夫?」なんて表現もあり、眉唾なイメージを抱えている人も多いだろう。

ただこの技術は、2014年からトヨタ車に取り入れられており、ノアやボクシー、プロボックスなどの例が公表されている。

86とBRZの場合は、アルミテープ技術のてんこ盛り仕様で、他車には効果の高い部分にのみ使われているようだ。逆に言えば、トヨタは、アルミテープによるチューニングにも挑んでいた訳である。

簡単に装着できるバンパー用のトヨタ純正アルミテープは、大手ネット通販サイトでも気軽に購入できる。トヨタによれば、毎月一定数が補修パーツとして販売されているという。

隠れた人気部品なのだ。その価格は、1枚500円程度。チューニングパーツと考えば激安だ。このため、話のタネとして試してみるクルマ好きも多いのだろう。

プラシーボ効果なのか、神的な激安チューニングパーツなのか、あなたもぜひ試してみてはいかが?

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