停止線のずーっと手前で止まったらどーなの? [過ぎたるは猶及ばざるが如し]の交通ルール

停止線のずーっと手前で止まったらどーなの? [過ぎたるは猶及ばざるが如し]の交通ルール

 一時停止すべき場所で、安全マージンをとってか停止線のかなり手前で止まっているクルマを見かけることがある。停止線で止まらないといけないことは多くのドライバーは知っているが、かなり手前って……どうなの?

文/山口卓也、写真/写真AC

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一時停止の停止線にはクルマのどの部分を合わせるべきか?

停止線のずーっと手前で止まったらどーなの? [過ぎたるは猶及ばざるが如し]の交通ルール
停止線の位置を正確に把握することは難しい。黄色信号で慌てて止まったりすると、写真のように停止線を越えてしまうことは珍しくないが、取り締まられると普通車で7000円の反則金が科される

 「一時停止はいったんクルマを止めてから発進すればいいんでしょ?」と思っているのか、停止線を少し越えて止まるクルマがけっこういる。

●停止位置は停止線の“直前”

 道路交通法 第43条には、「車両等は、交通整理が行われていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されている時は、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあっては、交差点の直前)で一時停止しなければならない」と書いてあり、停止位置は“停止線の直前”とされている。

 この“直前”とは、クルマの先端部(バンパーの先端)が停止線に被ることなく、そしてもちろん停止線を越えない位置である。

 つまりバンパーが停止線に少し被っている状態は、厳密にいえば違反。じつは「これで切符を切られたという人を知っている」と筆者は聞いたことがあるので、“少し”でも停止線にクルマの一部を被らせないほうがよさそうだ。

安全確認のために停止線を越えるのはOK?

 しかし、「停止線で一時停止すると、左右の安全確認ができない」という理由で、バンパーの先端どころかフロントタイヤあたりまで越え、停止線のかなり先で一時停止する人もいる。これは完全に道路交通法違反で、切符を切られることは十分ありうる。

 確かに脇道から幹線道路などに出る場合、停止線の直前で一時停止して左右の安全確認をしようとしても、道路形状や角の様子(樹木や塀がある)によっては左右の確認ができない場合がある。

 その場合は、道路交通法に従ってまず停止線の直前でいったん停止し、そこからソロリソロリ……と進んで交差する道路を通行するクルマや歩行者に自分のクルマの先端部を見せて再度一時停止。そこで左右の安全確認をしてから発進することを自動車教習所では推奨している。

かなり手前で停止しても違反じゃない?

 結論から言うと、停止線のかなり手前で停止しても違反にはならない。道路交通法には、停止線のかなり手前で停止した場合については書かれていないのだ。

 しかし、運転免許の技能試験の採点基準では、「停止線の手前からおおむね2m以上手前で停止した場合」には、“停止位置として不適切である”と判断されて減点対象となる。

それでも停止線のかなり手前で停止する人をたまに見かける。その理由とは?

停止線のずーっと手前で止まったらどーなの? [過ぎたるは猶及ばざるが如し]の交通ルール
とにかく早くスマホをいじりたい!! そんな「赤信号ラッキー」な輩は、停止位置なんて意識もなし。さらに、発進が遅いことも……。いずれにせよ、周囲のドライバーをイラつかせる

 「停止線に被るのは違反。だが、停止線のかなり手前は違反ではないが不適切」なのだが、交差点において停止線のかなり手前で停止しているクルマをたまに見かけることがある。

 例えば感応式の信号機の場合、停止線のかなり手前だといつまで経っても信号が変わらないし、「前走車は停止線直前で止まる」と思っていたらそれよりもずっと手前で止まるものだから追突しそうになった、もしくはヒヤッとした。なんて人もいるだろう。

 じつは筆者もそんな思いをしたことがある。そこで“停止線のかなり手前で止まる理由”を調べてみた。

●交差点を曲がってくる大型車が曲がりやすいように

 内輪差のある大型車は、左折時に車両の一部が反対車線に大きくはみ出ることがある。そのため、「大型車が曲がりやすいように」との配慮からという。

 ただ、国土交通省の文書によると停止線は「交差道路側の右左折車の走行に支障を与えない位置に設置する」と書かれており、停止線は大型車の通行も可能な位置に設置されている。よって、本来は停止線のかなり手前で停止する必要はないはず。

 だが、道路幅やその形状によって、対向車が停止線のかなり手前で停止していたほうが通行しやすい場所があるのかもしれないし、停止している側のドライバーの心理として「曲がれるのは知っているけど、ギリギリを走られると怖い」というのもあるのかも……。

●自身が追突された時、横断歩道上の歩行者に接触しないように

 確かに停止線の先に横断歩道があるシーンで追突されれば、自車が歩行者に接触する可能性はある。

●信号が青に変わったのが確実に見えるように

 クルマのフロントウィンドウの角度、運転席の位置(頭の位置)、座高の極端に高いドライバーの場合、停止線の直前で停止すると頭上にある信号機が見えづらい場合があるという。確かに信号機が見えづらいんじゃ仕方ないか……。

●携帯電話を早く操作したいから

 走行中に携帯電話を握りしめ、「停止線に合わせて停止を……」という操作の時間さえ待ちきれないのかかなり手前で止まっていそいそと携帯を操作するドライバーを見たことがある。

 携帯電話を保持したまま操作や注視すると違反となるが、保持のみであれば違反ではない。

 しかし、警察官が保持を確認した場合は注意される可能性もあるだろうし、少しでも画面を見れば「手で持っただけ」と言っても“言い逃れ”と判断される可能性も十分ある。

 しかもこの手のドライバーは、信号が青になってもなかなか発進しない……。

●車両感覚がつかめていないから

 最近のクルマは大型化が進んでおり、大型SUVやボンネット長の長いクルマでは、自車の先端や前方の下方がどのへんにあるのかがわかりにくい。

 ただ、車両感覚があまりつかめていないクルマに乗るのはそもそも危険な気がするのだが……。

●減速途中で止まってしまうから

 減速途中でアイドリングストップ機能が作動してしまうクルマがあり、スゥ〜っと空走状態の時にブレーキペダルを踏むと思ったよりも手前で止まる場合があるらしい。

 とまあ、理解できる理由も確かにある。そして道路交通法違反で罰せられる行為でもない。だが、あまりにも度が過ぎた状態は他車に迷惑となる場合があることは認識しておきたいものだ。

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