スバルの新型「フォレスター」が売れている。2025年9月の販売台数は、4,976台。これは前年比190.9%となる販売台数であり、スバルが当初月販目標としていた2400台の2倍にもなる、大幅な躍進ぶりだ。
トヨタの「RAV4」や「ハリアー」、日産の「エクストレイル」やマツダ「CX-5」など競合がひしめくミドルサイズSUVのなかで、新型フォレスターはここまで販売を伸ばしている理由には、フォレスターが貫く「姿勢」があるように思う。
文:吉川賢一/写真:SUBARU
【画像ギャラリー】国産SUVのど真ん中! 「ブレない」強さをもつ、スバル新型「フォレスター」(16枚)画像ギャラリー見た目よりも「運転のしやすさ」を優先
スバル「フォレスター」の初代モデルが登場したのは、1997年2月のことだ。キャッチコピーは「RVがスポーツの走りを手に入れた」。以降、現行6代目モデルに至るまで、フォレスターは流行を追わず、見た目の派手さよりも使いやすさと安全性を磨き続け、「どこでも走れるクルマ」(多目的車)というSUVの基本に真正面から向き合ってきた。
このフォレスターの「ブレない」姿勢が現れているものとして、象徴的なのが、運転席からの「見やすさ」だ。
フォレスターは歴代モデルを通して、前方の見やすさはもとより、前席サイドガラスのウィンドウラインがほかのどのSUVよりも低いことや、4代目から採用されたAピラー付け根の三角窓、絶妙な位置に配置されているドア付のサイドミラー、ヒップポイントの高いシート位置などによって、ドライバーが周囲を直感的に把握することができるよう設計されてきた。
近年のSUVは「薄窓厚体」デザインが主流で、カメラやセンサーに頼らないと周囲の把握が困難となるケースも少なくないが、そんな時代にあっても、新型フォレスターはしっかりと運転のしやすさを優先する姿勢を貫いている。これは素晴らしいことだ。
「安心と愉しさ」が貫かれているからこそ
もちろん、走りの質感の高さも歴代フォレスターに受け継がれてきた大きな長所。新型フォレスターは、「スバルグローバルプラットフォーム(SGP)」にフルインナーフレーム構造を組み合わせた新ボディの採用によって、まるでクルマに包まれるような安心感があり、新型フォレスターで新たに採用された2.5L水平対向エンジン+モーターのストロングハイブリッドも「走りの上質感」をさらに引き上げている。
運転席からの視界のよさ、走りの質感の高さというフォレスターの長所は、スバルが掲げる「安心と愉しさ」という企業哲学そのもの。時代や外部環境が変化するなかでも、スバルは「安心と愉しさ」という軸を「スバルらしさ」として、その思想を深化させてきた。フォレスターが「ブレない」のは、この「スバルらしさ」が貫かれているからだろう。
スバルならではの「事情も」
フォレスターがここまで一貫した方向性を保つことができるのには、スバルの開発事情にも理由がある。
スバルはトヨタや日産、ホンダのような大手メーカーに比べれば規模の小さな企業。そのぶん開発リソースが限られるため、車種構成には明確な戦略があり、小型車「インプレッサ」とそのSUV仕様「クロストレック」、中型車「レヴォーグ」とそのSUV版「フォレスター」、大型車「アウトバック」と北米向けの「アセント」といったように、ベース車とSUVの横展開で開発を行い、車格に合わせて微調節しながら、丁寧に熟成させて車両開発を行ってきている。
そのため、各モデルの方向性がぶれることなく地道に品質と性能が積み重なり、「スバルらしさ」も見失うことがないのだ。
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流行を追わず、SUVの本質である「どんな道でも安心して走れること」に愚直に向き合ってきたフォレスター。視界のよさ、走りの安定感、そしてスバルらしい安全思想。派手な演出はないが、長く乗るほどに信頼できる。スバル「フォレスター」はこれからも、守るべきを守りながら、進化を続けていくことだろう。
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コメント
コメントの使い方ホイールベースが短すぎて格下シャシー無理して使ってんのかと勘ぐるほど短足が気になる
やはり外見ってとても大事ですね。フォレスターがこんな評価を余所から受けるようになるとは。
旧フォレスターの80年代かのような広い視野を知っていると、新型は窓狭くなってベルトラインも上がったなと感じますが
それでも他社と乗り比べたら、大幅に視野広く感じるのでしょうね。スバル車共通の、斜め前方向の視界も
エッセンスだけで実益少ないものじゃなく、実際に見える安心感があります。昔からのスバルの誇る点です。