声優界のクルマ好きで結成されたヴォイスアクターズレーシングチーム(VART 通称:ヴァート)が富士スピードウェイで開催された7時間耐久レースに参戦。チームとして初めてのレースをベストカーが独占レポートします!
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※本稿は2020年2月のものです
文:プリウス武井/写真:中島仁菜、VARTチーム運営
初出:『ベストカー』 2020年3月10日号
■まずはVARTの面々をご紹介!!
●畠中 祐(はたなか たすく)
●石川 界人(いしかわ かいと)
●浪川 大輔(なみかわ だいすけ)
●三木 眞一郎(みき しんいちろう)
●三間 雅文(みま まさふみ)
■2020年1月 富士スピードウェイで開催された7時間耐久レースに参加!!!
昨年(2019年)の11月、有名声優によるレーシングチーム・VART(ヴォイスアクターズレーシングチーム、通称「ヴァート」)が結成され、ベストカーでもご紹介した。
人気声優が本格的なレースに挑戦するということで、話題のVART初陣の舞台裏を独占密着取材!
なぜ、ベストカーだけが独占取材ができるかというと、チーム運営とドライビングトレーニングを担うのはオレ、プリウス武井だから(笑)。
初陣に選んだのは、年明け早々1月、富士スピードウェイで開催された7時間耐久レース。運転免許とクルマがあれば誰でも参加できる耐久レースイベントだ。
このレースを主催するのは大沼プランニング。東北地方を中心に「思いっきりサーキット」というサーキットを走るイベントを開催している。
毎年、この時期には富士スピードウェイを借り切り7時間耐久レースを主催、今年で13回目となる。クルマ好きが遊び感覚で気軽に参加できるところが魅力だ。
決勝レースを翌日に控えた18日(土)は4時間走行会があり、メンバーはここでマシンを初めてドライブする。
この日がシェイクダウンになるマシンは、トヨタ86。チューニングメーカー・ブリッツがマシン製作とサーキットサポートを担当。
ブリッツの開発チームがサーキットに出向きチームのサポートをやってくれるから申し分のない体制だ。
フリープラクティス(公開練習)的な走行会に参加したのは、ドライバー兼監督の三間雅文さん、声優陣では主将の三木眞一郎さん、石川界人さん、そして免許取得中の畠中祐さん。
副主将の浪川大輔さんは仕事の都合で今回は欠席。
業界では有名な雨男の浪川さんが参加しないから、晴天かなぁとメンバー全員が思っていたら、期待を見事に裏切る冷たい雨。シェイクダウンには厳しいコンディションに。
マシンのチェックをするため初めはオレがチェック走行を担当。
5ラップほど流してピットに戻り、マシンに不具合がないかブリッツのスタッフが素早くチェックを行い、問題ないことを確認。いよいよVARTメンバーがステアリングを握る。
一番手は監督の三間さん。こちらに伝わってくるほどの緊張感でシートに収まった。クルマとコースに慣れてもらうため、ゆっくり周回してもらい、三木さんにバトンタッチ。
真摯にモータースポーツに取り組む実直な三木さんらしく慎重にシートとステアリングの調整をしてピットアウト。三間さん同様、コースとクルマに慣れてもらうためにラップを重ねてもらった。
三木さんにも無事に慣熟走行を体験してもらった後は、レーサー修行中の石川さんと畠中さんをオレがドライブする86の助手席に乗ってもらい国際レーシングコースを体感してもらった。
助手席とはいえレーシングカーとオレのドライビングに様々な感情が生まれたようだ。
面白かったのは、ふたりのリアクションの違い。このインカー映像は、4月以降、CS放送局のアニマックスで放送される番組で使われると思うのでチェックしてね(急に宣伝)。
見習いレーサーの訓練後は、いよいよ本格的に86をドライブする。練習走行も残り1時間ほど。
三間さんのドライブで練習が再スタート。天気予報では午前9時に天気は回復する予定だったけど、あざ笑うかのようにコンディションは酷くなる一方。さらに雪が降ってきた。
モニターで三間さんの走りをチェックしていると、ヘアピンでテールが流れスピン。運悪くコースから外れガードレールに軽く接触。幸いマシンに大きな損傷はなくピットに戻ってきた。
マシンにはドライバーを保護するためロールケージが付いているから三間さんの体はピンピンして元気だけど、心中は大クラッシュ中。神妙な面持ちで降りてきた。
コンディションが酷いのに走らせていたオレのミスでもある。レースはこういうこともあるから気持ちを切り替えて翌日の7時間耐久レースに挑む。
決勝日は、真冬とは思えないほどの晴天。昨日は一度も姿を見せなかった富士山も綺麗に雄姿を現わした。レースは9時30分スタート。7時間後のチェッカーを目指す。
7時間を走るドライバーは三間さん、三木さん、そしてオレ。ドライバー見習い中の石川さん、畠中さんは今回は欠場。
6月下旬にツインリンクもてぎである「JOY耐」には出場する予定。スタートドライバーを誰にするかレース前まで喧々諤々あったけど、主将の三木さんに決定。これは監督命令。
初めてのレーシングカーでのスタートドライバーなので、プレッシャーと緊張感は想像するだけでも気の毒だ。
今回は予選がなくスタート位置はエントリーが届いたチーム順。VARTは全75チーム中33番手からのスタートだ。
通常のレースだとパスコントロールってのがあって、一般入場者はパドックやピット、スターティンググリッドには入れないんだけど、このレースはたくさんの人に楽しんでもらいたいから、パスコントロールはない。
当然、スターティンググリッドにも入れて、緊張した三木さんを間近で見ることもできた。VARTは観戦バスツアーも実施していて、参加者もグリッドまで入れてとても満足していたようだ。
午前9時30分、オンタイムでレーススタート。スタートの混乱を上手に掻い潜り順調にドライブする三木さん。順位はクラス5番手まで浮上した。
35ラップを無難にこなして三木さんから三間さんにドライバーチェンジ。ドライコンディションになってドライブしやすくなった86を次のスティント(ピットイン)まで快調に走る三間さん。
周回を重ねるごとにタイムは上がっていく。ちなみに三木さんと三間さんはいつも最速タイム争いをしているライバル関係。当然、三間さんは三木さんが記録したベストラップを塗り替えに行く。
ピットインが残り3ラップになったことをスマホ無線で伝えると三間さんもプッシュする。タイムを狙いにいった結果、痛恨のシフトミス。オーバーレブ(既定のエンジン回転数を超えること)でエンジン内部のパーツが破損してエンジンブロー。
その際にオイルがフロントタイヤにかかってしまいスピン。コース上で停まってしまった。
幸いレスキューの素早い対処で大混乱にはならず、初陣はそこで終了した。少し慣れてきた頃に落とし穴があるのがモータースポーツ。三間さんもその罠にハマってしまい挫折というドラマを演出した。
今回、7時間に参加した大きな理由は、レースに慣れるための練習。順位は二の次だっただけにメンバーにとっていい経験となったはず。
次は6月27~28日ツインリンクもてぎで開催されるJOY耐。ドライビングトレーニングを重ねチーム一丸となって完走を目指したい。
●VARTチーム監督 三間雅文 コメント
初のハコの本格耐久レース出場! 流石に緊張いたしました。前日に雪が降りスピンも経験、さらにはエンジントラブルでのリタイヤの経験とまだまだ学ぶことだらけ。しかしながらこの歳になって打ち込める最高の目標ができたことに心躍ります! レースの諸先輩の皆さんに迷惑をかけないよう頑張りますので、よろしくお願いいたします!
●VARTチーム主将 三木眞一郎 コメント(レース後)
『ベストカー』本誌でお馴染みのプリウス武井氏にドライビングを指南していただき、この記事の富士スピードウェイ7時間耐久レースでデビューいたしました「VART」主将の三木眞一郎(声優)です。とてもステキなチームで参加させていただけました。ブリッツ様、スタッフやスポンサー様、応援して下さった皆様に感謝しかありません。クルマの楽しさや、サーキット走行の気持ちよさをあらためて教えていただきました。もちろんソコには様々に注意するコトも含まれておりますが。当初掲げた目標のJOY耐目指して、これからも精進いたします。スタートしたばかりの「VART」でありますが、これからもなにとぞ、よろしくお願いいたします。
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