クルマに興味を抱くキッカケは人それぞれ。昔はスーパーカーブームが定番だったけれど、今じゃ漫画やアニメが無視できない。当の作り手側たちもそんなことを思っていたようで。
いつも登場人物やキャラクターを代弁する声優たちが、今度はリアルワールドのモータースポーツに挑戦することになった。
三木眞一郎氏、浪川大輔氏といった声優界を代表するビッグネームも参戦するレーシングチーム「VART(ヴォイスアクターズレーシングチーム)」について今回はご紹介しよう。
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※本稿は2019年11月のものです
リポート:中三川大地/写真:VARTオフィシャル
初出:『ベストカー』 2019年12月26日号
■目指すは2020年6月の“ジョイ耐”!!!!
今年11月、突如としてVART(ヴォイス・アクターズ・レーシング・チーム)の発足が発表された。名前のとおり、業界初の試みである人気声優陣を集めたレーシングチームだ。
もともと音響監督の三間雅文氏と、声優の三木眞一郎氏とが意気投合したところから、この挑戦は始まった。ふたりとも、もとから大のクルマ好き。ともに10年以上のカートレース経験のある筋金入りだ。
ちなみにおふた方はアニメ『頭文字D』に携わり、特に三木さんはアニメ版の藤原拓海の声を担当。
世界中を魅了させた峠の全開バトルが、今度は現実のものに……!?
●【頭文字(イニシャル)Dとは?】累計発行部数約5,000万部を誇る、走り屋たちの熱き戦いを描いたコミック。アニメの歴史も古く、初代放送は1989年に遡る(オフィシャルサイトへ接続)
でも、実際は峠を攻めたてるような類ではなく、キチっとした体制でモータースポーツへと挑戦する。
当初の目標に掲げたのは、来年6月末に開催される「もてぎEnjoy7時間耐久レース」(通称:ジョイ耐)への参戦だという。
「若者にかぎらず世の中全体のクルマ離れが叫ばれている今、クルマってすごく楽しいものだっていうことを僕らが実体験させていただき、あらゆる手段で世の中に伝えていきたい。
素人集団の我々ですが、これがキッカケとなってひとりでも多くの方がクルマに興味を抱いてもらえたらと思います」
と、ふたりはVART発足の意義を述べる。
この計画に賛同して集まった声優陣は3名。ふたりが声をかけたら喜んで参加してくれたのが若手声優の石川界人(かいと)さんと畠中祐(たすく)さんだ。
彼らは、レースはおろかサーキット走行だって未経験。畠中さんなんて、まだ自動車免許すら持っていない。でも、ふたりともクルマに対しては並々ならぬ興味を持っていた。
「免許を取るというプロセスから始めて、ジョイ耐のためにA級ライセンスも取らないといけない。
初心者の僕らがその過程を等身大で伝えることで、モータースポーツの魅力を少しでもお届けできたら」と参加の意気込みを教えてくれた。
この若手声優たちに加え、三間さん、三木さんとともに10年来のカートレース経験を持つ浪川大輔さんを加えた5名でのスタートとなる。
今後はもしかしたら、さらに飛び入りゲストの参加もあるかもしれない……!?
すでに彼らは、来年のジョイ耐へ向けての練習を開始している。「目標は大きいほうがいい」と、ゆくゆくは国際最高峰の耐久レースへの挑戦まで視野に入れて活動するという。
ところで、数あるモータースポーツカテゴリーで、複数人で闘う耐久レースを選んだのには理由がある。
「レースのなかで自分の役割をきっちりとこなして、少しでもいい状態で次の人へとバトンを渡す。これって、日々の自分の仕事と同じ。ひとりではなく、仲間全員で目標を達成したい」と、三木さん。
声優歴30年のベテランで、クルマの作品に携わった経験も多いだけに、今度は声優という役割に加え、ドライバーとして仲間たちと目的を達成する喜びと、クルマの魅力を訴えていきたいという。
「モータースポーツの世界ってわからないことだらけ。問題にぶつかることも多いと思いますが、少しでもクルマと社会を結びつける役割を担ええればいいなと考えています」と、ドライバーに加えてチーム監督を兼任する三間さんはそう締めくくった。
実際、彼らのやる気は相当なもの。発表会が開催された11月の時点では、もう密かに練習を始めているという。どうやらクローズドコースを使ってドライビングの基本から学んでいるようだ。
彼らのやる気に感化され、徐々に協力してくれるスポンサーも集まってきた。ひとまず来年のジョイ耐では、マシンはブリッツ製になる模様で、レーシングチーム運営は本誌スーパーカー劇場でおなじみプリウス武井氏だとか。
この練習の模様をはじめチーム活動の様子は、アニマックスで来春以降から放映される番組でぜひともご覧ください。もちろん、ベストカーでも随時レポートしていきます!
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