実用品としての現役を退いて既に50年以上が経つも、未だ根強い人気を保っているのがSL・蒸気機関車。中には引退後も解体されず記念物へと肩書きを変えて公園などに置かれ、今もその姿を留めているものが残っていて、立ち寄った先で見かけると嬉しい存在だ。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、バス旅の間でも見に行けるSL保存車の写真があります)
■原則的にはクルマが必須に? 静態保存のSL見学
屋外・屋内展示、公開非公開含めて、2026年現在も全国各地には数多くの蒸気機関車の保存車が長〜い余生を過ごしている。
保存蒸気機関車巡りが鉄道趣味の一つのテーマになるほどの奥ゆかしさを持っているが、割と課題になるのが機関車の置いてある場所へのアクセス。
マイカー/レンタカーがあれば自由自在、最もシンプルに事が運ぶ。とはいえ移動手段にバスや電車を使っている場合、どうしても見に行ける範囲が限られてしまう。
そこで今回は、北海道に残っている静態保存車の中から、路線バス/鉄道旅の乗り換え時間を使って見学できた蒸気機関車を3両紹介しよう。
■新得のD51 95
1台目の居場所は、札幌〜帯広・釧路方面の特急列車が停まり、2026年現在は普通列車の始発/終着になっているJR根室本線の新得駅の近く。
新得駅前には、根室線の一部廃止された区間の代替バス役を務める都市間特急バス「ノースライナー」や、帯広・鹿追方面とを結ぶ北海道拓殖バスの一般路線などが立ち寄る。
新得駅の駅舎を背にして左方向、1kmほど歩くと「新得山スキー場」への入口があり、そこに「新得町SL広場」が併設されていて、機関車が1両置かれている。
車両はデゴイチの愛称でも知られるD51 95。1935〜45年までの間、国鉄向けの合計で1,115両が製造されたうち、1938年に作られた通算95番目のD51だ。
新得のD51 95は、ボイラー上のカバーが長い「なめくじ」とも呼ばれる初期のグループに入る。
1965年に北海道に住処を移し、新得を中心に根室本線、函館本線、室蘭本線、歌志内線で使用され、1974年に廃車となっている。現在の保存場所へやって来たのも廃車と同じ年の1974年だそうだ。
D51は日本国内でも静態保存車の数が飛び抜けて多く、2026年1月現在のところ、車両全体が残っているものが160両以上健在で、地域別に見ると23両ある北海道が最多エリアだ。
なめくじタイプの保存車は全国計19両ほどで、北海道にあるものは新得の95号機を含めて4両となっている。
■知床斜里の59683
2台目は、JR釧網本線の一連の列車が停まる知床斜里駅と、斜里バスによる網走〜斜里間の一般路線や、知床半島方面へのアクセスバスが出入りする駅前斜里バスターミナルが最寄り。
駅前広場を背にして右方向へ約1.2km。斜里町役場をちょっと過ぎた、ゆめホール知床の隣の「斜里町民公園」に置かれている。
こちらの機関車は1913〜26年まで770両が製造された、9600形と呼ばれる貨物用機関車で、同地の1台は1922年に作られた通算584番目(59683の1桁目と4・5桁目を取り出し繋げた「583」に+1したものが通算番号になる)の9600形だ。
1933年に北海道へ移り、倶知安、長万部、滝川、帯広と居場所を変えながら、最後は広尾線の貨物列車の牽引と入換作業に使われ、1975年に廃車。斜里での保存は1978年からだ。
9600形は古い機関車ながら数が多いのと現役期間も長かったため、保存車がそれなりに現存しており、全国に38両ほどあるうちの半数が北海道に集まっている。







