日本を代表するスポーツタイヤブランド、横浜ゴムのADVANが誕生から40年を迎えた。モータースポーツとともに進化を続けてきたADVANスポーツタイヤの歴史と現在、そして未来を探っていく!!
文:ベストカー編集部
写真:ヨコハマゴム、ベストカー編集部
モータースポーツが培ったADVANのスポーツ性能
『ADVAN』ブランドは、クルマ好きにはもちろんだが、それ以外の多くの人にとって高性能タイヤのイメージとして知られている。
その歴史は今年で40年を迎えた。
1978年4月『ADVAN HF』がADVANの名を冠した初の製品として世に出た。
開発のスタートは1970年代中盤。日本グランプリなど、1960年代終盤から一気に盛り上がりを見せたモータースポーツは1970年代に入るとオイルショックと排ガス規制の強化で一気に下火になる。そんな時代背景ではあったが、もちろんモータースポーツの火が消えたわけではなく、根強くレースは継続されていたし、きたるべき日に備えて着実に準備は進められていた。
「日本のタイヤメーカーとして世界最高レベルのウェット性能を持ったタイヤを作る」
これが後にADVAN HFとして世に出るタイヤの開発スタートだった。当時の時代背景では、一般的な乗用車に使用するタイヤは消耗品で、耐久性などの実用性が最重要視されていた時代である。
開発陣は耐摩耗性能よりもグリップ性能を重視したトレッドコンパウンドにウェットレース用タイヤのパターンを刻んだ試作品を作り、テストコースでの実走行テストで性能を極めていったのだ。
こうして誕生した『ADVAN』ブランドは、文字どおりモータースポーツ技術をバックボーンとして、またモータースポーツとともに成長をしていくこととなる。1979年には黒地に赤のADVANカラーを纏ったスターレットとサニーが富士GC(グラチャン)シリーズのマイナーツーリングカー部門に参戦し、1980年には国内トップカテゴリー、全日本F2選手権にADVANタイヤ装着車が出場した。
衝撃的だった『HF TypeD』
ADVANの名を広く知らしめたのは1981年に登場した『ADVAN HF TypeD』だ。トレッドアウト側にはディンプル状のパターンがあるだけの大胆な非対称パターンを採用。あたかもレーシングスリックタイヤのようなルックスと強大なグリップ性能は、当時のクルマ好きを熱狂させただけではなく、欧州を中心とした海外でも高い評価を得た。HF TypeDの衝撃は、現在50歳前後の読者だったら鮮烈な記憶として脳裏に刻まれているのではなかろうか!?
これと並行して横浜ゴムは1983年からグループC用タイヤの開発にも着手。ヨーロッパF3選手権へのタイヤ供給、ル・マン24時間レースへの参戦など欧州モータースポーツへの参加とともに世界へADVANの名を知らしめていった。これらが1989年のポルシェ技術承認へとつながっていくのだ。
もちろん今日でも国内トップカテゴリーのスーパーフォーミュラを始め、スーパーGT、ラリー、ジムカーナなどあらゆるモータースポーツにADVANは参戦し、高いレベルでのタイヤ開発に繋げていることはいうまでもない。ADVAN40年の歴史は、まさに日本のスポーツタイヤの歴史なのだ。
ADVAN HF 誕生 ─1978年
初めて『ADVAN』の名を冠したタイヤが1978年4月に登場した『ADVAN HF』だった。ハイグリップ性能を重視したトレッドコンパウンドにウェット用レースタイヤのパターンを刻んだスポーツラジアルタイヤ。日本で初めてのスポーツ性能を謳ったタイヤがADVANなのだ。
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