気候も春から夏へと変わりつつある5月。朝晩はまだ長袖が必要なものの、日中はすでに半袖でもいいような日が続く。
この時期に一番気を付けたいのがクルマの「熱中症」。まだ夏ではないし、クルマは直射日光が当たらないし……、なんて考えは非常に危険だ。
外気温が23℃と過ごしやすくても車内は70℃にも達するという。子どもの車内放置、たとえ5月でも絶対やめるべき理由と万が一の対処法に迫ります。
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock
■ダッシュボードは約70℃に?? 生命の危機もある春先の車内
「お車ナンバー品川〇〇〇……のドライバーの方、至急お車にお戻りください」。
そんなアナウンスが4月末のショッピングモールで流れた。また迷惑駐車かと思いきやどうやら様子が違う。
「車内にお子さまがいらっしゃいます。至急お戻り下さい」と続く。
気候も落ち着いて眩しい太陽光が降り注ぐ日ではなかったが、それでも気温は20℃を超えていた。
いまだに子どもを車内に放置して出かける保護者がいるのが少しゾッとしたが、ちょっとの間なら大丈夫だろうという親心もわからないでもない。
しかし真夏ではなくても熱中症の危険性は非常に高くなることはぜひ覚えておきたい。
日本自動車連盟(JAF)が2007年4月末に実施した実験のデータが興味深いのだ。
当日の気温は23.3℃だったにもかかわらずなんと車内温度は驚愕の数値に達している。
(1)ダッシュボード付近/70.8 ℃(時間:11時50分頃)
(2)車内温度(運転席の顔付近)/48.7℃(時間:14時10分頃)
(3)測定日の外気温/23.3 ℃(時間:13時40分頃)
(4)フロントガラス付近/57.7℃(時間:11時50分頃)
車内温度を見ても48.7℃という数値は優に人間の体温を上回っており、国際的な温度基準(WBGT)でも31℃以上は安静状態でも熱中症の危険性があるとされる。
そんな50℃にも迫ろうとする春の車内で、大人よりも代謝が高く、心拍も分間100回以上になる乳幼児を放置することは非常に危険ということがわかるはずだ。
■もし車内放置を見かけたらどうするべきか?
多くの場合、車内放置を見かけた場合はその施設管理者への問い合わせをするのが先決だ。そこで館内放送などで保護者を呼び出してもらう。
しかし、館内放送などでの呼び出しでも保護者が出てこない場合で、車内の子どもの様子に異常を感じた場合ははいったいどうするべきだろうか?
こうなると最終手段としてクルマのガラスを割ることも視野にいれないとならない。
基本的には施設管理者へ任せる案件ではあるが、どうしても自分しか判断できる人間がいない、もしくは状況がひっ迫している場合は警察や消防に指示を請うことも考えたい。
また、いざガラスを割ることになったら乳幼児から対角線にある一番遠い窓ガラスを割る。先端の尖った突起物であればサイドウィンドウを割ることは簡単だ。
ちなみにフロントウィンドウは樹脂が入った合わせガラスであり、割れないということも頭に入れておこう。
近年ではパチンコ店や大手ショッピングモールでは、緊急時に無断でガラスを割ることをポスターなどで注意喚起している施設も多い。
たとえガラスを割って子どもを救出しても緊急時の正当防衛として罪に問われない可能性は非常に高いが、必ず複数人で作業するなど事の顛末を記録しておく必要はありそうだ。
子どもが寝てしまったり、ぐずった場合に「ほんの5分だからいいか」と思いたくなる気持ちもわからなくはない。しかし必ずそこには危険がある。
子どもの命と自分の手間、天秤にかけるまでもないのだが、2019年は悲劇が起こらないように祈りたい。
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