かつてパトカーの代表的な車種といえば、日産のセドリックとトヨタのクラウンが双璧だった。ところが、セドリックは約20年前に生産を終了、現役で稼働している車両はほとんどいなくなった。今ではパトカーの主力は、クラウンとなってしまっている。
今回はもはや絶滅寸前ともいえるセドリックパトカーを改めて発掘。書籍『セドリックパトカー スーパーバイブル』(講談社ビーシー/講談社)にも登場するレアパトカーを紹介しよう。
文・写真/有村拓真
■まだあった! Y31中期型セドリックパトカー
神奈川県警では、なんと超レアなY31中期型セドリックパトカーが、まだ現役で活躍している。後期型や最終型のセドリックパトカーではなく、中期型だ。おそらく全国唯一の存在だろう。Y31中期型セドリックは1991年にマイナーチェンジで登場したかなり古いモデル。この車両は、1994年に県費で導入されている。2023年時点で車歴はなんと29年! かなりのご長寿車両だ。
導入当時は県警本部の交通部門で活躍していた。その後、2014年に神奈川県北西部に位置する秦野警察署へ異動。地元のお祭りなどの祭礼警備や交通取り締まりなどを行っていた。そして、そのまま余生を過ごすと思いきや、2022年下旬より高速隊に異動、訓練車として抜擢されたのである。
その理由はMT車であること。平成の中頃まで、交通系のパトカーにはMT車がごろごろしていたが、令和の現在、MT車はほとんどない。そんな状況の中で、MT車の訓練用として必要だったのだという。また、秦野署でもセドリックのような収納力に限りのある車種よりも、祭礼警備などの際に資器材輸送に便利な車種のほうがいいということで、移籍先の車両とトレードを行ったとのことだ。
移籍後は警察署時代とは違って日々ハードな使われ方をしているという。運が良ければその勇姿を拝めるかもしれない。なお、車歴は古いが、ボディ側面などには「POLICE」のロゴが入れられている。神奈川県警では2010年に開催されたAPEC横浜首脳会議に合わせて、県警が保有する白黒パトカーに順次ロゴが入れられたという。
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