ボルトやビスで部品同士を接合する場合、相手側にはナットや雌ネジが必要です。しかし裏側にナットをセットできない板状や箱状の部品もあります。またDIYで部品を製作する際は、パーツ同士の固定や締結を効率良く行いたいものです。そんな時に重宝するのがハンドリベッターやハンドナッターです。ここではそれぞれの工具の特長と使い方について解説します。
裏側に手が届かない部材の締結で活躍するハンドリベッター
電装部品をまとめるパネルを作ったりDIYでフェンダーレスカスタムをする時に、型紙に従って折り曲げたアルミ板をつなぎ合わせたい。ボルトとナットでは接合部が目立ったり、形状によっては板の裏側のナットを保持できない場合もあるし、溶接するための道具も技術もない。
そんな時に重宝するのがハンドリベッターです。
ハンドリベッターとは、ブラインドリベットと呼ばれる固定具を用いて金属板や樹脂部品を締結する工具です。一般的なリベットは、表側から挿入したリベットを裏側でかしめて固定しますが、ブラインドリベットは片側からの作業だけで固定でき、裏側に工具が入らない場所でも施工できるのが最大の特徴です。
リベットのサイズに応じてノーズピースを使い分ける

ブラインドリベットのマンドレル(シャフト)径に応じて使い分けるノーズピースはφ2.4、3.2、4.0、4.8、6.0mmの5サイズ。ホームセンターや工具ショップでブラインドリベットを購入する際は、マンドレルがこの5サイズのどれかに適合していることを確認しよう。
ブラインドリベットが表側からの作業だけで締結できる理由は、リベット自体に独自の構造があるためです。ブラインドリベットはリベット本体と、リベットの中心を貫通するマンドレルと呼ばれる軸状の部品からなる2ピース構造となっています。
ハンドリベッター先端のノーズピースにマンドレルを差し込んでハンドルを握ると、マンドレルがリベッター内部に引き込まれると同時に、マンドレルの頭部がリベットに潜り込みながら変形することで先端が膨らみます。また、ハンドリベッターに引き込まれたマンドレルは、リベットをかしめ終わると自動的に切断します。
これによりリベット先端に工具や手が届かなくてもかしめ状態となり、部品同士が締結されるのです。
ブラインドリベットは締結しようとする部品の厚みや材質によって、さまざまな素材(アルミや鉄、ステンレス製リベットがあります)やサイズが市販されています。また胴部直径が同じでも、締結部分の厚さによってリベット軸部の長さ違いも存在します。
ボルトとナットの組み合わせであれば、板厚に対してボルトが長くてもナット側に突き出すだけですが、ブラインドリベットはかしめ量が決まっているため、薄板の締結に過剰に長いリベットを使うと、マンドレルが切断してもかしめ不足でリベットが浮いてしまうこともあります。
そのためブラインドリベットを購入する際は、あらかじめ締結する部品の板厚を把握して、適した長さを選択することが重要です。
さらにリベット胴部の直径によって、マンドレルの軸径も異なります。リベット胴部が細ければマンドレルが細い=マンドレル頭部が小さくてもリベットをかしめることができますが、太いリベットになると大きくかしめるためにマンドレル頭部が大きくなり、必然的に軸径も太くなるからです。
多くのハンドリベッターにはさまざまなマンドレル軸径に対応できるよう、複数のノーズピースが付属していますが、ブラインドリベットを購入する際はマンドレル軸径とノーズピースが一致していることを確認しましょう。
バイクカスタムにおけるハンドリベッターの利便性

ブラインドリベット径に応じた下穴にリベットを通して、開いたハンドルを閉じるとマンドレルが引き込まれるとともにリベットの先端が膨らんでかしめられて固定される。画像はリベットの状態が明確になるよう一枚の板で作業しているが、実際に使用する際は板を重ねたり筒や箱状の部品にリベットを通すことで、裏側に手を入れることなく部品を締結できる。
バイクカスタムの現場では、ハンドリベッターがさまざまな用途で活用されています。代表的なのは、カウルやフェンダーなどの外装パーツの固定です。純正パーツだけでなく、FRP製やアルミ製のカスタムパーツを装着する際には、裏側にナットを入れられないことがあります。
そのような場合でも、ブラインドリベットを使えば表側からの作業だけで確実に固定できます。また、ナンバープレートステーやヒートガード、アルミパネルなどの取り付けにも適しています。ボルト固定に比べて部品点数が少なく、振動による緩みが発生しづらいのも利点と言えるでしょう。
ブラインドリベットを施工するハンドリベッターのもうひとつの特徴は、軽量で携帯性に優れている点です。電動工具やエア工具とは異なり、電源やコンプレッサーを必要としないため、屋外や出先など場所を問わず作業できます。

ハンドルを閉じてリベッター内部に引き込まれたマンドレルは、リベットの先端をかしめ終わると切断されてリベットが外れる。アストロプロダクツ製HR756の場合、外れたマンドレルはシャフトケースに回収されるので、ガレージや作業場内に飛び散らないのが特徴。

ブラインドリベットの頭部形状には突き出しタイプと隠れタイプがあり、この画像は突き出しタイプ。板の裏側で太くなっているのがマンドレルで引き込まれてかしめられたリベット先端で、元の軸径より太くなることで抜けなくなる。
部品を着脱したい場合にあると助かるハンドナッター

ハンドリベッターにおけるマンドレルはブラインドナット側にあって切断されるが、ハンドナッターのマンドレルはブラインドナットとかしめる雄ネジそのものを指す。マンドレルが破損しないよう、ネジ径に応じたノーズピースとセットで使用する。
ナットを使わなくても部品を締結できるハンドリベッターは便利な工具ですが、一度かしめたブラインドリベットは外せないという弱点があります。実際にはリベットの頭をドリルで削り落とせば外すことができますが、部品を着脱したいのであればもっと便利な工具があります。
それがハンドナッターです。
ハンドナッターは、先端の雄ネジ(マンドレル)にブラインドナットを取り付け、母材に挿入した状態で先端を膨らませてかしめることで脱落や抜けを防止します。そして雄ネジを取り外した後はブラインドナット内面の雌ネジによってビスやボルトをねじ固定でき、取り外しや再組み立てが可能なのが大きな特長です。
母材に充分な厚みがあれば直接タップで雌ネジを切ることも可能ですが、ハンドナッターとブラインドナットを使えば薄板の金属やアルミパネルなど、通常のタップ加工では十分なねじ山が確保できない素材にも確実なねじ固定ができ、ブラインドナットも素材や用途に応じてアルミ、スチール、ステンレスなどがあるため、強度や耐食性などの条件にも柔軟に対応できます。
構造自体はハンドリベッターと似ていますが、恒久的な締結ではなく雌ネジを作る工具である点がハンドナッターの特徴です。
DIY好きのサンデーメカニックならセットで持っておきたい
ハンドリベッターとハンドナッターは、ブラインドリベットやブラインドナットを潰して(かしめて)固定するため、施工はある程度パワー勝負となる側面があります。マンドレルが太くなるほど、引き抜くために必要な力も大きくなるためです。
しかしながらボルトやナット、溶接以外の方法で部品(主に板材)を締結する手段として、これらの工具は簡便で確実な作業ができる点でとても魅力的です。
ボルトオンパーツの着脱以上のワンオフパーツ製作やDIY作業を頻繁に行うサンデーメカニックであれば、いざという時に役立つのは間違いありません。
- ポイント1・ハンドリベッターとハンドナッターは裏側に手が届かない部品の締結で活躍する工具である
- ポイント2・ブラインドリベットやブラインドナットには様々な素材やサイズがある
- ポイント3・金属同士だけでなく金属と樹脂、樹脂同士の締結にも使える
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/maintenance/528505/
薄板でも確実固定。簡単操作で作業効率を一気に高めるハンドリベッター&ハンドナッター【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/528505/528517/






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