欧州トヨタはこのほど、ハイラックスの日本仕様にはすでに設定されているGRスポーツを欧州仕様にも追加し、今年夏からデリバリーを開始することを発表した。
欧州仕様のハイラックスGRスポーツは日本仕様と異なるところが意外にある。ここではその違いを紹介し、トヨタが実は車種ごとに仕向地に応じてきめ細かく行っている仕様変更についても紹介する。
文/永田恵一、写真/TOYOTA
【画像ギャラリー】日本と日本以外でこんなに違う!? トヨタの「仕様違い」をギャラリーでチェック!(25枚)画像ギャラリー■ハイラックスGRスポーツ、日本仕様と欧州仕様の違い
まず、4ドアのダブルキャブボディに設定されるハイラックスGRスポーツの欧州仕様は、欧州仕様のハイラックスのダブルキャブの主力グレードに準じ、日本のハイラックスが2.4Lディーゼルターボ(150ps&40.8kgm)を搭載するのに対し、2.8Lディーゼルターボ(204ps&51.0kgm)を搭載する。
これは欧州仕様のハイラックスは最高速こそ2.4Lディーゼルターボが168km/h、2.8Lディーゼルターボで173km/hとそれほど変わらないものの、加速力向上のためと思われ、うらやましい。
また、足回りもGRスポーツ同士でも欧州仕様にリセッティングされていると思われるのに加え、タイヤサイズは日本仕様のハイラックスGRスポーツが17インチから18インチにインチアップしているのに対し、欧州仕様のハイラックスGRスポーツは欧州仕様のハイラックスで標準的な18インチから17インチにインチダウンされている。
これはランドクルーザーのGRスポーツ同様にオフロード向けというコンセプトでGRスポーツ化されているためかもしれない。
そのほか、エクステリアでは日本仕様、欧州仕様ともにTOYOTAのロゴが入るグリルの形状の若干の違い、インテリアも欧州仕様では日本仕様に付くハンドルのセンターを示す赤いラインがない代わりに、ダッシュボードのパネルが赤いアクセントが入ったカーボン調にものになるといった違いもある。
■トヨタが実は車種ごとに仕向地に応じてきめ細かく行っている仕様変更
●ヤリス
・日本仕様は5ナンバー幅なのに対し、欧州仕様は3ナンバー幅
これはスズキスイフトも同様だが、日本仕様は取り回し向上の5ナンバー幅、欧州仕様は走行性能向上のため3ナンバー幅としていることには、日本市場への配慮という意味で頭が下がる。
●カローラファミリー
カローラファミリーはカローラクロスのフロントマスクが海外向けと日本向けで異なるのをはじめ、変更点は多く、主だった点を以下に記載する。
・欧米中のガソリンNAは日本仕様の1.8Lに対して2L
・欧州仕様のハイブリッドは日本仕様同様の1.8L(フルパワーとなるシステム出力122ps)に加え、システム出力184psの2Lも設定
このあたりは加速力を求められる使い方に対応したものと思われ、日本仕様にも欲しい仕様だ。
・中国仕様には1.5L、3気筒も設定
これは廉価版という意味も大きいにせよ、カローラの車体には余力の大きいエンジンだけにどんな仕上がりなのか興味深い。
・日本仕様のセダン、ステーションワゴンのツーリングは日本専用ボディ
セダンを例にすると中米欧仕様のカローラのボディサイズは全長4635×全幅1780×全高1435mm、ホイールベース2700mmに対し、日本仕様は同4495×1745×1435mm、ホイールベース2640mmとかなり小さくなっており、日本での取り回しに配慮している。
●カムリ&レクサスES
・アメリカ仕様にはそれぞれ2.5Lハイブリッドのみなのに対し、2.5L直4ガソリンと3.5LV6ガソリンも設定
これはアメリカ仕様の幅広いニーズに対応してのことだ。
・中国仕様にはそれぞれ2L直4ガソリンも設定
こちらは中国では「価格の割に見た目が立派なクルマ」が求められることへの対応だ。
●レクサスIS500
アメリカでは先代ISのIS Fほどのスーパースポーツセダンではないが、ラグジュアリーで豪快な加速を楽しめるIS500も設定される
●海外向けハイラックスのシングルキャブ、エクストラキャブボディ
日本以外で販売されるハイラックスにはほとんどの仕向け地で、販売台数がそれなりにあることもあり、2ドアのシングルキャブと2ドアに小さなリアシートとマツダRX-8のような観音ドアが加わるエクストラキャブボディも設定される
●海外向けのハイエース300系
世界的に見るとハイエースは標準ボディでも日本の200系ハイエースのスーパーロングボディと同等の全長で全幅はさらに広い300系に移行しつつある。しかし、日本では4ナンバーボディの重要性などもあり、200系ハイエースが継続販売され、非常に商品力の高い200系ハイエースの日本での販売は当面続きそうだ。
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