車幅1800mm超えは日本には大きすぎる!! 日本が求める適正サイズと大きくなり続ける車の事情


■近年の日本車の車幅が広がったワケ

 では、なぜ最近の日本車のボディサイズは大きくなり、特に車幅が広がる傾向が強まっているのか? あくまでも筆者の私見だが、やはりアメリカ市場でのC/Dセグメントの影響が最も大きいと思う。

 クルマのサイズや車格について、自動車メーカーはグローバル市場では、Aセグメント、Bセグメント、Cセグメント、Dセグメントというカテゴリ―分けして商品/製品企画を進めるのが一般的だ。

 日本市場でコンパクトカーというのは、Bセグメントを意味する場合が多い。

 一方、アメリカ市場でコンパクトカーといえば、Bセグメントより大きなCセグメントを指す。また、2000年代以降はCセグメントの大型化が進み、ひとつ上のDセグメントと融合してC/Dセグメントと呼ばれるようになった。

 C/Dセグメントの代表例は、トヨタ「カローラ」「カムリ」とホンダ「シビック」「アコード」だ。それぞれがアメリカで年間販売台数が25~35万台という、北米市場での中核モデルとして長年に渡りアメリカのユーザーから支持されてきた。

ホンダ「アコード」などのモデルは、北米市場での中核モデルとして長年に渡りアメリカのユーザーから支持されてきた

 時代を振り返ると、日系メーカーは1980年代から海外戦略を強化してきたが、1980~2000年代初頭までは事実上、大きな販売台数を見込める北米市場対策と同義だった。

 時代が2000年代中盤に移ると、経済新興国BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ等)での市場拡大が日系メーカーにとって必須事項となる。なかでも中央政府による経済活動の民主化運動が急激に進んだ中国事業の拡充に急いだ。

 2010年代中盤頃までは、中国市場でのユーザー志向はアメリカでの生活に対する憧れが強いという特長が強かった。

 結果的に、日系メーカー各社は北米C/Dセグメントのトレンドと、中国市場への現地化を上手くバランスさせるような商品/製品構成を進めていく。

 さらに時代が進み、2010年代前半以降は、アメリカでSUVのコンパクト化が大きなトレンドになった。SUVは、1990年代にピックアップトラック向けのラダーフレームシャーシを活用するフルサイズSUVとミッドサイズのSUVが人気となり、2000年代には乗用車とプラットフォーム共通化が進んだ。それが、C/Dセグメントに波及し、セダンからSUVへの顧客流出が一気に進んだ。

 このトレンドが、中国のみならず、欧州や東南アジアにも広がっていく。

 その流れが2010年代後半以降、日本でも強まり、東南アジア向けAセグメントを活用したトヨタ「ライズ」、ダイハツ「ロッキー」が登場することになる。

 こうしたグローバルで、1980年代~2020年代にかけての『クルマのセグメントの変遷』を俯瞰すると、従来はグローバル市場での中核だったCセグメントが、市場ニーズによって大柄となり、それがSUVに波及し、それが日本市場に揺り戻されているといえるだろう。

2022年4月7日に日本プレミアで発表されたマツダ「CX-60」の全幅は1890mmとワイド。CX-60に限らず、近年登場するSUVは市場ニーズにより大型化している

 とはいえ、日本の国土は7割以上が山間部の島国であり、都市部や地方部を問わず住宅密集地の道路は狭い。

 国土交通省によると、道路の構造を決める道路構造令では、車線幅員は「すれ違いや追越などの実験結果を踏まえ、設計車両の幅に必要な余裕幅を加えて規定している」と示されている。車線の幅員は道路区分によって違い、第1種第1級では3.5mで、特例として3.75m。また第3種第4級では2.75mとなり、最大と最小で1mの開きがある。

 単純な計算で、車幅1800mm(1.8m)のクルマが上下1車線の道ですれ違うのは、1.8m×2=3.6mが必要であり、現在の日本の道路では路肩にはみ出すなどして、ギリギリとなるのが実状だ。

 日本の道の車線幅員、または駐車場の1台あたりのスペースを今後広げることは難しい。

 一方、日本を含めたグローバルでのSUVシフトによるクルマの大型化と幅広化はまだまだ進みそうだ。

 こうしたミスマッチ、そう簡単には解決することはできないのではないだろうか。

【画像ギャラリー】日本の道路事情なんてなんのその! どんどん大型化する人気国産SUVとその車幅(10枚)画像ギャラリー

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