久々に蘇るトヨタの周到な市場戦略 かつて圧倒的に人気だったヴォクシーをノアが逆転! ノアの人気が急上昇した理由とは


 2022年1月13日に発売された新型ノア/ヴォクシー。ノア/ヴォクシーといえば、圧倒的にヴォクシーの方が人気が高かったが、新型にフルモデルチェンジすると、一気にノアがヴォクシーに肉薄するようになってきた。

 1月の新車販売台数はノアが1650台、ヴォクシーが1774台、2月はノアが2227台、ヴォクシーが2073台と初めて逆転。3月はノアが7046台、ヴォクシーが7691台とヴォクシーが抜き返す。

 そして4月には、ノアが5697台(7位)、ヴォクシーが4707台(9位)とノアがヴォクシーに対し990台の差をつけ、今年2度目の逆転を果たしたのだった。

 今回、新型ノアがヴォクシーを逆転したのは、何が原因なのか? 巷では、ヴォクシーの過激なフロントマスクが敬遠されているという話も聞く。その真相はどうなのか、モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が迫った!

文/渡辺陽一郎
写真/トヨタ、ベストカーweb編集部

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■新型ノアがヴォクシーに肉薄している理由はなんだろうか?

左がノア(エアロ系)、右がヴォクシー。新型ヴォクシーの強烈なインパクトが販売台数に影響したのか?

 トヨタは2020年5月に、全店が全車を販売する体制に移行した。今でも一部の地域を除くと、トヨタ店/トヨペット店/カローラ店/ネッツ店という販売系列は残るが、取り扱い車種は全店共通だ。以前、クラウンはトヨタ店、ハリアーはトヨペット店、カローラはカローラ店の専売だったが、今はすべての店舗で購入できる。

 これは国内市場に対するリストラだ。トヨペット店とカローラ店など、販売系列の異なる店舗が隣接する場合、従来は取り扱い車種が異なるから共存させる必要があった。しかし今は全店が全車を扱うから、店舗を統廃合できる。販売力の強い店舗が生き残る。

 また従来は、販売系列に応じて基本部分を共通化した姉妹車を用意することも多かったが、全店が全車を扱えば、その必要はなくなる。

 例えばルーミー&タンクは、後者を廃止してルーミーのみになった。アルファード&ヴェルファイアは、今でも姉妹車関係を残すが、後者はグレードを大幅に減らして売れ行きも下がった。販売店では「ヴェルファイアは改良などの機会に、廃止されるだろう」という。

 ところがノア&ヴォクシーは例外だ。全店が全車を扱う体制に変わった後でフルモデルチェンジを行ったが、ルーミー&タンクと違って片方を廃止せず、両姉妹車を残した。

 ノア&ヴォクシーの姉妹車を存続させた理由は2つある。1つ目はノアとヴォクシーの両方が従来から好調に売られてきたことだ。

 ノアのフロントマスクは、カローラ店の取り扱い車種らしくファミリー向けの穏やかなデザインとしている。ヴォクシーはネッツ店の特徴を反映させ、存在感の強いスポーティな印象だ。姉妹車でも個性が異なるから共存できた。

 姉妹車を残した2つ目の理由は、現行ノア&ヴォクシーが多額のコストを投入して開発され、従来以上に大量に売る必要があることだ。

 トヨタは全店が全車を扱う体制に移行して、姉妹車関係をリストラしてきたが、ノアとヴォクシーだけは大量に売る必要があるから統合できない。

ノアエアロ系(S-Z)
ノア標準系(Gハイブリッド)

 そこで現行ノア&ヴォクシーは、両車の個性を従来以上に際立たせた。ノアは標準仕様とエアロパーツを装着する2種類のボディを用意して、フロントマスクは多くのユーザーが選びやすい一般的なデザインとしている。

 一方、ヴォクシーは、先代の後期型と同じくエアロ仕様のみを設定して、標準仕様は選べない。フロントマスクは思い切り個性的に仕上げた。

 つまりヴォクシーは、従来のエアロミニバンでは満足できない個性派ユーザーをターゲットに開発された。それでもミニバンだから取り込めるユーザーは限定されるが、ノア+ヴォクシーの組み合わせにより、1.5車分くらいの集客力を持たせられた。

次ページは : ■かつては1ヵ月平均でノアが4390台、ヴォクシーが7334台でヴォクシーが圧倒していた

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