かつては、フルラインナップでトヨタとガチンコで販売勝負していた日産だが、現在は車種整理が進み、ラインナップにかつてのような(数という意味での)華々しさはなく、選び抜かれた少数精鋭で戦っている状況だ。
しかし、日本で整理されてしまったモデルのなかには、海外では生き残り、魅力的なモデルに進化を遂げているケースも少なくない。そんなモデルをいくつかピックアップしてみよう。
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:NISSAN
個性を活かしつつもイケメンになった「ジューク」
日本では、2010年から2020年まで販売されていたコンパクトクロスオーバーSUVの「ジューク」。2ドアクーペのような流麗なフォルムと豊かに張り出したフェンダー、丸型ヘッドライト、フロントボンネットの中央付近まで伸びるポジションランプなど、スポーティで個性的なデザインが特徴だ。
1.6L 直噴ターボエンジンの設定や、当時まだ少なかったトルクベクタリング式4WDシステムの搭載などによって走りも良く、NISMOや特別仕様車、限定モデルの設定など、話題性も抜群だった。ただ、個性的すぎるデザインゆえ、ジュークは日本市場においては、まさに賛否両論。ファンも多かったが否定派も多かった。
ところが、欧州では堅調なセールスを記録し、2019年には2代目が登場している。デザインはキープコンセプトながらモダンに進化しており、Vモーショングリルとシグネチャーランプを繋げる造形、そして丸型ヘッドランプの組み合わせはバランスが良く、ジュークの個性を活かしながらも魅力的なデザインとなった。日本へはこの2代目が導入されることはなく、ジュークは初代限りで販売終了、代わりにタイ生産のキックスが導入されている。
日本を卒業して、超絶カッコよくなった「ティアナ(アルティマ)」
ローレル・セフィーロを継ぐアッパーミドルクラスのFF高級セダンで、初代は2003年に発売された「ティアナ」。FFパッケージならではの室内の広さや、シンプルでモダンなデザイン、V6エンジン搭載ながら直4と同等レベルの価格帯など、クルマとしての魅力は高く、モデルチェンジとともに熟成を重ねてきたティアナだったが、セダンへの逆風には耐えきれず、日本市場からは2020年に姿を消している。
だが、「アルティマ」の名で販売されていた北米では、2018年に6代目となる新型が誕生。同じくセダン人気の高い中国でもティアナからアルティマへ改名し、フルモデルチェンジとなった。新型登場時のトピックとなったのは、日本ではエクストレイルで話題となった可変圧縮比エンジン「VCターボ」の搭載と、アルティマ初となる4WDモデルの設定、自動運転技術「プロパイロット」などであるが、なんといっても、デザインがとにかくカッコいい。
低重心のスタンスを軸に、ダーククローム仕上げのVモーショングリル、薄型のLEDヘッドライトといったスポーティなディテール、深みのある「スカーレットエンバーレッド」のボディカラーも彫刻的なスタイリングを際立たせている。もちろんいくらカッコ良くてもセダンだと日本で売れないのは分かっているのだが、日産にはこんなモデルもあるのだということをもっと知ってもらいたい。ちなみにIMPUL(インパル)を通して国内でも入手することは可能だ。
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