トラックを補う「商用EV三輪バイク」
2024年以降に先行して不足するのはトラックドライバーだが、レポートでは車両の不足も想定されることから、「環境問題」「道路事情」「小型荷物の増加」「トラック運転手数の鈍化」といった観点で配送手段自体を見直す必要があるとした。
トラックを補う手段としてクニエが提言するのは商用EV三輪バイクだ。その定義としては以下の要件を全て満たす車両とする。
●宅配業務などの商用目的で使用する
●エンジンを使用せず、バッテリーの電力だけでモーター駆動する
●3個の車輪が車両中心線に対して左右対称の位置に配置され、カーブ走行時に車輪および車体の一部又は全部を傾斜して旋回する構造を有する
●車両の排気量が50cc以下で 「原付一種」 もしくは 「ミニカー」 で登録されている
なお、直近5年では「原付一種」のホイールとタイヤの変更を通じて「ミニカー」としての登録が増加する傾向にある。ミニカーは原付一種と比較して必要免許が「普通自動車免許」となるほか、法定速度は30km/hから60km/hに、二段階右折が不要となるなど、宅配業務用車両としての利便性が向上する。
他にナンバープレートの色や左右のホイール間の距離などの制限値も異なる。
主に2トントラックを運転している宅配ドライバー5.8万人を、商用EV三輪バイクで代替するには、三輪バイクのドライバーを約8万人追加する必要があると試算した。
ちなみに海外では、フランスの大手トラックメーカー、ルノー・トラックスが今年から電動三輪車(カーゴバイク)の製造・販売を開始している。ラストマイル輸送の需給逼迫と、脱炭素の両立は国外でも課題になっており、フランスではトラックメーカー自らがトラックの代替手段を用意しているのだ。
必要となる運転免許や、急速に普及した宅食(フードデリバリー)事業などを考えると、商用EV三輪バイクの潜在的なドライバー数は、トラックドライバーを目指す人よりは多いだろう。
レポートは、拡大を続けるEC市場と2024年問題への対応、脱炭素の取組を両立しながら、商用EV三輪バイクによって宅配トラックドライバーの不足を解消することが可能とした。
なお試算は、自動運転(配送)などの分野で急激なイノベーションは起こらず、同様に急激なライフスタイルの変化もないという前提だ。
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