災害級の暑さ……外に一歩出れば汗が吹き出し、それはもう耐えられないレベルの昨今。気をつけなければならないのが車内での熱中症。熱中症は屋外だけで起きるものではない。クルマという密閉空間は、特に暑くなるので注意が必要なのだ。
文:ベストカー編集部/写真:日本自動車連盟/アイキャッチ:Adobestock@varts/データ提供:日本自動車連盟・初出:『ベストカー』2017年8月26日号 ※2018年8月4日掲載の記事を再編集しております
■「ちょっとなら」で、大変な事態に
JAFが夏の閉めきった車内の熱中症指数(WBGT)による測定を行った結果によると、20℃まで冷やした車内でも、エアコンを停止してわずか15分で熱中症指数は危険レベルに達したという。
「子供が寝ていて起こすのがかわいそうだし、ちょっとの時間だからクルマに残してお買い物」なんて、気持ちはわかるがもってのほかなのだ。
■真夏の車内の温度 条件違いでどう変わる?
気温35℃の環境に4時間、ボディカラー黒、ボディカラー白、サンシェード装着、窓開け(3cm)、エアコン作動といった、さまざまな条件のクルマを置いた場合、車内温度がどう変化するのか? というテストをJAFが行っているので、まずはその結果(下表)を紹介したい。
■色違いで約5℃の差が生じる
一般的にボディカラーが黒っぽい車両のほうが、温度が高くなりやすいといわれている。テストでもそのとおりの傾向となっており、対策なし同士で比較した場合、黒いボディカラーの車両のほうが、各部の温度が白い車両よりも約5℃高い結果となった。
ただ、もっと差が開くかと思った数値だが、思ったよりも小さかった。
■サンシェードは効果薄
よく駐車場で目にするサンシェード。ダッシュボードやハンドルが熱くなるのを防いではくれるのだが、さて車内温度は? となると、車内最高温度は対策なしに比べてたったの2℃しか低くならず、温度抑制効果はほぼないと言える。これではとても車内にはいられない。
■空気を循環させても厳しい
では空気を循環させるのはどうだろうか? 結果としては、開けないよりはマシといったレベルだった。
約5℃低下はするが、ダッシュボードの温度が高いことの影響か、それとも入ってくる空気が外の熱風なので効果が低いのか、期待したほどの効果は出なかった。
■文明の利器(エアコン)は強いのだが……
これは比べるまでもないだろう。これなしでは夏は生きていけないと言う人がいるのがよくわかる、圧倒的な力を見せつけた。
しかし、確かに涼しくはなるのだが、ずっとエンジンをかけておかねばならず、誤作動でクルマが動いたり、燃料切れでエンジンが止まってしまう可能性もある。緊急災害時などは死活問題になってしまう。また排ガスを出しているため、環境負荷の面でも問題がある。
個別にテストした結果では、温度抑制効果は低いという結果が出た。しかし、サンシェードと窓開けを組み合わせれば相乗効果が期待でき、皮算用ではあるがエアコンに頼らずとも、10℃くらいは低くなるかもしれない。
※以上、実施日:2012年8月22〜23日、場所:彩湖・道満グリーンパーク駐車場(埼玉県戸田市)、天候:晴れ、気温:35℃、試験時間:午後12時から4時間
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