働きやすい重トラクタ
不整地を走るシチュエーションも多い重トラクタだが、新型GWでは「フルデフロック機能」を標準装備した。これは、リア2軸のドライブアクスル間の差動を制限するサードデフロックと、それぞれの左右輪間の差動も制限する左右輪デフロックの二つを同時に機能させることで、不正路面での駆動輪の空転を抑える機能である。
路面そのものがデコボコしている砂利道の坂道発進でフルデフロックのON・OFFを試してみると、その効果はてきめんで、OFFではむなしく砂利を転がすだけだが、ONではいともたやすく発進できてしまう。UDが事前に重トラクタユーザーへ告知した際も、フルデフロック装備は極めて反応が良かったそうだが、それも納得である。
そして、このような路面でもUDASには大きなメリットがある。クルマは大きく揺さぶられているのに、ハンドルがその影響を伝えてこないのは奇妙でさえあったが、キックバックによる操舵ミスや振動の軽減は、運転環境の改善につながるはずだ。
新型クオンGWは、わずか2年という開発期間で復活した車型だが、さすが日本の重トラクタ事情を知り尽くしたトップメーカーが、満を持して復活させたクルマだと感じられた。もちろん運転環境が優れているといえども、「輸送業界の2024年問題」を新型GWだけで解決することはできないが、少なくともドライバーにとって「より働きやすい重トラクタ」であることは確かだろう。
【画像ギャラリー】530PS・6×4後輪エアサスの新型重トラクタ・クオンGWの走り!(8枚)画像ギャラリー