米国のスタートアップ企業・Xosは2022年5月10日、中~大型の電動トラック2モデルを発表・発売した。既に発売している中型クラスのバンと合わせると、同社はクラス5以上のバッテリー電気式(BEV)トラックをラインナップすることになった。
これに併せてトラック用のコネクテッドソリューションも発表、インフラを含めた電動エコシステムを提供する。
トラックは生産活動に使う生産財だ。用途によってはコスト効率においてBEVトラックがディーゼル車を上回っている分野も多く、コンセプトカーやプロトタイプは無数に発表されている。いっぽう2017年に発表され、一躍スポットライトを浴びたテスラ・セミは、度重なる延期で5年近く経っても未だに納車されていない。
そんな中、Xosが目指すのは今すぐ注文できる「現実のトラック」だ。運送会社やトラックドライバーが求めているのは「セクシーなクルマ」ではない。新興メーカーが訴求する「トラックとしてのカッコよさ」には、見るべきものがある。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/Xos, Inc.
電動の大型トラックを発売
米国の電動商用車メーカーで、フリートサービスも提供するXosインクは2022年5月10日、クラス8大型トラックを含むバッテリー電気式(BEV)トラック2モデルを発表・発売すると共に、トラック用のコネクテッドソリューション「Xoスフィア」を発表した。
これらの新製品によりXosは電動商用車のフリートソリューションで業界をリードすることを目指している。車両本体のほか、充電インフラ、クラウド管理プラットフォームなど、いわゆる「フルスイート」の電動エコシステムを一社で提供するのが同社の特徴となっている。
新たに発表・発売された「Xos HDXT」は、米国のトラック区分で最も重い「クラス8」のBEV大型トラック(トラクタ)で、地場輸送用に設計されたもの。
満充電からの航続距離は230マイル(約370km)。馬力は市販トラックで最強クラスの798hpを発揮する。連結総重量(GCW)は8万2000ポンド(約37.2トン)、積載量は5万6000ポンド(約25.4トン)だ。
運送会社のマクレーン社(McLane Company)が Xos HDXT 10台のパイロットプログラムに合意しており、環境に優しい新型車両をフリートに組み込んで試験を行なう。
マクレーンのフリートマネージャ、マーク・ベックマン氏は次のように話している。
「Xosの大型トラックのパイロットプログラムに参加できることに興奮しています。同社は商用フリートに革新的なモビリティソリューションをもたらしたことで際立った功績があると私たちは認識しています。環境における持続可能性を高めながら、私たちの総保有コスト(TCO)低減にどう貢献するのか楽しみにしています」。
クラス5~8のBEVトラックをラインナップ
いっぽう、HDXTと同時に発表・発売された「Xos MDXT」はクラス6/7(中~大型)のBEVトラックで、満充電からの航続距離は最大270マイル(約435km)。車両総重量(GVW)は23000から33000ポンド(約10.4トン~14.9トン)。
このクラスは架装(ボディ)仕様が多岐にわたり、MDXTにもボックス(箱車)、冷蔵冷凍車、フラットベッド(平ボディ)など多くのバリエーションがある。
アメリカでホールセール&飲料輸送大手のRNDC社(Republic National Distributing Company)が既に5台のMDXTを注文している。同社にとっては初のBEVトラックであり、RNDC社の持続可能性へのコミットメントを象徴する車両となるそうだ。
なお、Xosはクラス5の中型BEVトラック「ステップバン」(SV05)をすでに販売している。ラストマイル輸送用ステップバンの航続距離は最大150マイル(約240km)、GVWは19500から23000ポンド(約8.8トン~10.4トン)。
今回発表された新型車と合わせると、Xosはクラス5以上の中~大型トラックを一通り電動化したことになる。
XosのCEOであるダコタ・セムラー氏は次のようにコメントしている。
「私たちはフリートの未来を作っています。新しい車両は、より長距離を走り、より長く使えて、あらゆるコストを削減します。革新的な商用車ソリューションを市場に投入し、お客様により安全で、よりサステイナブルで、さらにコスト効率に優れた製品を提供するために努力を続けて参ります」。
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