東京で唯一“流し”のロンドンタクシー。料金は同じです。その姿、下町にも似合う。
唐突だが、ラグビー日本代表で大注目された五郎丸歩選手の〝五郎丸〟という苗字。現在日本には約250世帯あるそうだが、同じ日本でロンドンタクシーは現在10数台走っているという。
そのほとんどが観光用タクシーなので、今回紹介する法人所有の〝流し〟で使用するロンドンタクシーはかなり珍しい存在。現在東京都内では一台しか走っていないという。
80年以上、英国の歴史と伝統を受け継ぎながら現在の全高の高いスタイルが定着しているが、このモデルは最新のTX4タイプ。所有するのは東京都墨田区の互助交通だ。
「私どものような中小企業が生き残るには、乗務員のサービス向上はもちろん、お客様にわかりやすくサービスを伝えることが大切。そのカタチとしてこれを一台導入したわけです。
鉄道で、乗車した後にその列車の前で記念撮影をする光景をよく見かけますが、同じ公共交通機関のタクシーでも、そういった思い出を残す、お客様の心に残ることをしたい、という思いもありますね」
そう語る中澤睦雄専務。そして、付いた名前が『想い出タクシー』。都内の中央区や港区、台東区などで流しで走っているが、結婚式の送迎などのプランも今後考えているという。
さて、名称は〝ロンドン〟タクシーだが、現在その資本を持つのは中国のジリー社。このロンドンタクシーも今年ジーリー社で作られたクルマ。車両価格は557万2800円(税込)で、オプションを加えると約600万円。
けっこうなお値段といえる。日本導入するのにシステム的にそれほどハードルは高くないロンドンタクシーを、各タクシー会社がこまねいているワケは、この高価格が要因になっているそうだ。
「採算は簡単にはとれないですけど、走る広告塔的な役割や乗務員求人での訴求力もあります。やや長い目で見ればペイできると思います」と力強く話す中澤専務。
折り畳み椅子の助手席も使えば最大7人乗車で、後席は向い合わせに座るタイプ。ほかのタクシーにはない雰囲気が車内に漂う。また専用のスロープを出せば、車椅子に座ったまま乗り込めるという利点もある。
走り始めて10日間経過した10月中旬。運転した感じを乗務員さんに聞いてみると、「視界が高いので運転しやすく、ハンドルも切れるので小回りがきく。これは意外でした」と上々の様子。
またお客さんからも「子どもがこのタクシーでなきゃイヤということで乗りました」「乗り心地がよくて快適」と好評価をいただいているという。さらには自転車と一緒に乗り込むお客もいたとか! この秋、都内で〝背高タクシー〟を探して、手をあげてくださいまし。
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