走りが楽しいクルマ=パワフルというイメージを持っている人が多いと思うが、名車と呼ばれるクルマの多くは非力なエンジンを搭載していたからおもしろい。ローパワーぶりが輝きを放つ(?)、国産モデル3車をご紹介する。
文:奥津匡倫(Team Gori)/写真:トヨタ、マツダ、スズキ
【画像ギャラリー】やっぱあるの!? 新型スイフトスポーツはきっとこうなる!? 唸る見た目がコレ(7枚)画像ギャラリー■わずか110ps程度だった名車AE86
ローパワーの国産スポーツ代表と言えば、真っ先に思い浮かぶのがAE86だ。1.6L自然吸気の4A-Gは“グロス”130ps。グロスはエンジン単体状態で馬力を測定したもので、積載状態で計測するネットと比べて15%近く大きい数値が出ると言われている。実質的には110psほどだった。
だから正直、速くはなかったし、新車で買えた当時も速いクルマとは認識されていなかった。ただ、AE86を速く走らせるためには、上までエンジンをしっかり回し、限られたパワーを絞り出し、速度を落とさない運転が求められた。
それをクリアした人がレースやドリフトなどで活躍し、後々のAE86に対する評価につながっていった。エンジンだけではなく、ボディの軽量化や駆動系パーツなど、車両全体のチューニングで速さを獲得していった部分もある。
【画像ギャラリー】やっぱあるの!? 新型スイフトスポーツはきっとこうなる!? 唸る見た目がコレ(7枚)画像ギャラリー■世界中でヒットを記録した初代ロードスターは120ps
AE86と同じ1.6Lの排気量を持つFRモデルとして人気を博したのが1989年登場のユーノスロードスター。初代のNAだ。世界的に記録級のヒットとなった名車だが、同時代に後世に名を残した速いモデルが多くあったため、速いクルマというイメージはなかった。
120psの自然吸気エンジンはスペック通り、とってもローパワー。エアコンをONにしたときのガクっとくる出力低下は、嫌になるほど体感できた。
また、4A-Gのような高回転型でもないため、まわして楽しむキャラクターでもなかった。ただ、実際に乗ると走りは軽快で、運転の楽しさが評判を呼び、不動の地位を獲得した。
【画像ギャラリー】やっぱあるの!? 新型スイフトスポーツはきっとこうなる!? 唸る見た目がコレ(7枚)画像ギャラリー■スイスポ成功の礎となった初代はたったの115ps
ファイナルモデルが発表され、何かと話題のスイスポ。4代目のZC33Sはターボ化により、パワーとトルクを獲得したが、3代目までのNAモデルはローパワー路線を歩んできた。特にその傾向が強いのは初代のHT81Sで、1.5LのM15Aのパワーはたったの115ps。リアルに100ps足らずのエンジンだった。
ちなみに1.6LのM16Aが搭載された2代目(ZC31S)は125ps、同様に3代目(ZC32S)は136ps。1.6Lエンジンは非力ながらブンまわす楽しさもあり、素性の良さから多くの走り好きの心を掴んだ。チューニングベースとしての人気も高く、若者御用達の練習車としても知られている。
こうして見ていくと、人気車の条件が必ずしもハイパワーではないことがわかる。100psちょっとのモデルでも、オーナーやチューナーたちが磨きをかけることで、速さを身につけ、名車と呼ばれるようになったのである。
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コメント
コメントの使い方現代で言ったら軽自動車以下の車重じゃん……実はとってもローウェイトの国産スポーツモデル。
軽さは正義。軽快さの高揚感を得るには、800kg超えると100kgごとに必要な馬力が+40psも増えると言われてますからね