地震でクルマが壊れた……この場合って自動車保険でどうにかなるの?

地震でクルマが壊れた……この場合って自動車保険でどうにかなるの?

 地震大国日本。いつ何時大地震が起きるか分からないこの国では、自身での備えが必要不可欠です。過去の大地震では家屋や建物の被害同様、自動車も大きな被害を受けています。地震に対するクルマの備えはどうすればいいのか、一緒に考えていきましょう。

文:佐々木 亘/画像:Adobestock(トップ写真=Free1970@Adobestock)

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車両保険は地震被害の前では無力

残念なことに、一般的な自動車保険に付帯される車両保険による補償では、地震や津波で壊れたクルマは直せません(Masato H@Adobestock)
残念なことに、一般的な自動車保険に付帯される車両保険による補償では、地震や津波で壊れたクルマは直せません(Masato H@Adobestock)

 残念なことに、一般的な自動車保険に付帯される車両保険による補償では、地震や津波で壊れたクルマは直せません。

 これらの被害に対して補償されない理由は、地震災害がもたらす被害の規模があまりにも大きく、損害保険会社がすべての契約者に対して補償を提供すると、保険財政が維持できなくなる可能性が高いためです。これは、火山の噴火にも当てはまります。

 加えて、地震や津波といった災害は発生頻度や規模の予測が困難であり、損害が集中するため、保険が保険としての体をなさないのです。

 そのため、ほとんどの損害保険会社では、自動車保険契約約款に「地震・噴火・津波による損害は補償対象外」と明記しています。今の日本の自動車保険では、どうやっても十分な補償が下りないというのが現状です。

地震に対応できる特約があるんだけど……

地震特約は、完全補償ではなくお見舞金のような役割になっており、車価が50万円のクルマでも500万円の車でも、支払われるのは50万円(Andrey Popov@Adobestock)
地震特約は、完全補償ではなくお見舞金のような役割になっており、車価が50万円のクルマでも500万円の車でも、支払われるのは50万円(Andrey Popov@Adobestock)

 近年の地震による自動車被害は深刻で、マイカーを失い、日々の生活に支障をきたす方も大勢います。

 このような事象の解決方法の一つとして、損害保険会社では、地震特約(保険会社により名称に違いがあります)を新設するようになりました。それが「地震・噴火・津波危車両全損時一時金特約」です。

 地震特約は車両保険に加入している契約者が付帯できるものです。クルマが地震により全損となった場合、50万円(車両保険金額が50万円以下の場合は、保険金額に準じた金額)が支払われます。

 地震特約は、完全補償ではなくお見舞金のような役割になっており、車価が50万円のクルマでも500万円の車でも、支払われるのは50万円です。

 また、マイホームの地震保険でクルマを直せないかという質問をよく受けます。具体的には、「ガレージで保管していたクルマが地震によって倒壊した家屋の下敷きになった」というケースです。

 これは、家の地震保険で補償されそうなケースですが、残念ながら地震保険において、クルマは補償対象の家財に該当しないため補償されません。

地震特約のアップグレード版があった

地震からクルマを守ると考えたときに、自動車保険だけを頼りにするのではなく、被害が起きないように日ごろから注意しておくことも大切(Pro Clipart@Adobestock)
地震からクルマを守ると考えたときに、自動車保険だけを頼りにするのではなく、被害が起きないように日ごろから注意しておくことも大切(Pro Clipart@Adobestock)

 地震に対するマイカーの補償の必要性が高まる中で、保険会社は「地震・噴火・津波車両損害特約」というものを出しました。

 これは、前述の一時金とは違い、地震や噴火・津波でクルマが損害を受けた場合に大きな金額の補償を受けられる特約です。通常の車両保険へ+αすることで、地震被害発生時の車両補償が可能になります。

 具体的な補償は、車両保険の保険金額を上限金額となっているので、補償額のイメージは一般的な車両保険と同様です。ただし、この特約を提供している保険会社が限られていることと、全てのクルマに対して自由に付帯できるわけではない点に注意してください。

 例えば、高額車両への付帯や地震のリスクが高い地域での加入は断られることもあります。契約の可否はケースバイケースになるので、取り扱い保険会社へまずは問い合わせてみましょう。

 気になる保険料は、車両価格300万円の車に対し地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約を付けると年間保険料は5000円程度です。補償の大きな地震車両損害特約では、年間で数万円程度の保険料を支払う必要があります。費用対効果の面でも、契約には慎重にならざるを得ません。

 地震からクルマを守ると考えたときに、自動車保険だけを頼りにするのではなく、被害が起きないように日ごろから注意しておくことも大切でしょう。

 倒壊した建物や建造物でクルマが壊れるような場所に駐車していないか、坂道や狭い場所を避けて駐車するなど、日ごろからできる対策は意外と多くあります。クルマの地震対策は、今すぐに行いたい防災行動。備えあれば憂いなしです。

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