2023年の秋に発表された神奈中バスの新しい車体カラー。登場から2年ほど経ち、街中で新色を見かける機会が増えてきた昨今、神奈中バスのイチ沿線民の目線としては、新色がどのような印象のもとに映っているのか、あくまで個人の感想に留まるのを断りつつ、ちょっと雑感をしたためてみたい。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、最近増えてきた神奈中バス新色車両の写真があります)
■難しい縦塗りを選んだ大胆っぷり
2023年に発表された神奈中バスの新色は、赤、橙、黄色の3色を縦方向に配して、赤→橙→黄色をグラデーション風に表現しているというもので、1949年に始まった、黄色に近いクリーム地に赤と橙の横線を引いた塗り分けから74年ぶりの刷新だった。
実車を初めて見た際、なかなか大胆なデザインだな〜、と印象を持った。乗り物の車体に2色以上を使う際、横方向への塗り分けは非常に安定感があって心理的にフィットさせやすい長所がある代わりに、時に保守的すぎて大胆さに欠ける弱点を持つ。
一方で縦方向の塗り分けは先進性が高く見える代わりに、過度な尖り・前衛的になりすぎる傾向が強く、安定感にかけては非常に脆いデメリットがある。
これまでにバス・電車・飛行機・船など、縦塗りのボディカラーで印象に残ってるの何かある? と聞かれて、まず大阪シティバスの路線車に標準で縦塗りのものがある。
ただし大阪シティバスの縦塗りは2020年からイメージ刷新で導入されたもの(デザイナーは神奈中バス新色と同じ奥山氏)で、まだそれほど時代が経っていないのは、神奈中バス新色と立ち位置があまり変わらない。
そのほかには、相鉄バスはどちらかといえばブロックパターンで、EF81のカシオペア色が縦と言えば縦かな? 185系もそうだけど少々傾斜が付いているのと、縦のように見えるR2-D2ジェットは方向性が違うか……。
思い浮かばなくはないものの、胸を張って「コレ!」と、何十年もの昔から縦塗り一筋を通し続ける、スター的存在を指名できるほどの即答性に詰まるゆえに、定着難度最強の縦塗りをチョイスした、神奈中バスの新色はかなりチャレンジングにも思えた。
■その後どう思っているか
当方、物心付いた頃から神奈中バスの走るエリアが本拠地な手前、ひとつ前の神奈中カラーを目にしている期間が物凄く長いため、「神奈中バス=あの色」と思わんばかりの刷り込み効果を持っており、ただでさえバイアスのかかった状態だ。
それを払拭するのはまず無理なんじゃないの? と自身でも身構えていたが、新色の登場から2年ほど経ち、現状あのカラースキームにどんな印象を抱いているのかと言えば、不思議なことに割とすんなり迎え入れられているのが率直な感想だったりする。
もっとも何十年も慣れ親しんだ以前のカラーが現状マイベストのままであるのは確かながらも、神奈中バスを利用する際に新色が来たら来たで、「お、今日は新しいのだ♪」のような感じで、新色に接するにあたって全く抵抗がない。
■日曜のアニメスタイルが功を奏した?
それにしても、どうしてこうも定着の難しい縦塗りを採用した新色が、拍子抜けするほどウエルカムな状況になれたのか。ちょっと客観的に考えてみると、新色の増やし方に秘密があるのではと勘繰ってみた。
別ジャンルの似たような例を挙げるとすれば、青いネコ型ロボットのアニメと、日曜日の国民的アニメの関係だろうか。
どちらも何十年と続くビッグタイトルであるが、この場合、声優さんを一度に全員交代させたか、少しずつ代替わりしているかの違いがある。
神奈中バスの新色入れ替えに関しては後者、日曜日のアニメのほうに近い方法が採られており、新色で出てくるのは原則として新車で導入する車のみで、従来からある車両は一つ前の塗色のまま継続、という流れだ。
もしも一度に同社が所属している全部の車を塗り替えていたとしたら、交代劇から20年以上経った今も一部でレジスタンス活動が見られるネコ型ロボットのアニメような、何かと大変なことが起きていた可能性が高かったハズ。
神奈中バスの新車投入のペースはそこまで極端に早くはないので、時間をかけてゆっくり新旧カラーの交代が現在進行形で行われている最中。
普段利用する側からしても、海水魚を淡水に住まわせるような感覚で、慣れるための猶予がしっかり設けられているところが、功を奏しているのではないかと考察する次第だ。
それにしても新色、遠くからだと物凄く目立つんだよねぇ。あのずば抜けた視認性の高さには驚かされるばかり。
【画像ギャラリー】縦塗りがダイナミック! 新色に塗られた神奈中バス車両(7枚)画像ギャラリー













