フジエクスプレスで臨時運転士として乗務する記者のバス運転士日誌は、新たなる挑戦の機会を得たのでその模様をお伝えする。連載を順に読むにはバスマガジンWEBのHPから「バス運転士日誌」で検索すると新しい順に表示されるので運転士になるまでの奮闘記は過去の記事をお読みいただければ幸いである。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■仕業が「教育」?
記者はバイトの臨時運転士なので、希望した日にしか出勤しない。しかし担当する仕業は概ね決まっているので、事前に運行管理者に聞けばわかる。ところが先の日の交番表を見ると「教育」となっていた。しかも日勤扱いだ。これは何かやらかしたか?
日勤は9時から17時までが一応の勤務時間で、採用直後は空車教習で日勤として教育と訓練を受ける。それは過去に経験済みだ。しかし正運転士になってから教育とはなんだろう?ちなみに事故歴はない。強烈なクレームが入りドライブレコーダーで検証した結果、記者の有責だと判断されたのか?
しかし某鉄道会社のような悪名高い「日勤教育」制度は聞いたことがない。恐る恐る「教育」って何ですか?と聞いてみた。答えは「あ、芝ルートを覚えてもらおうと思いましてね」だそうだ。先にそれを言ってくれよ。と思いながら芝ルートの空車教習を1日行うことが判明した。
■ちょっと特殊な芝ルート
フジエクスプレスが運行する港区のコミュニティバスである「ちぃばす」は8路線もある。使用車両は路線により異なり、9mの中型車(日野レインボーまたはいすゞエルガミオ)か7mの小型車(日野ポンチョまたは小型EV車)である。
このうち芝ルートは港区の施設「みなとパーク芝浦」から田町駅を経由して三田駅から日比谷通りを中心にコミュニティバスらしくあちこちに寄りながら最終的に新橋駅までを結ぶ路線である。
芝ルートの使用車両は小型車のみで、特殊なのはEV車が充当されていることだ。芝ルートのみにEV車が入る。つまり芝ルートを担当する場合はルートやバス停の位置はもちろんだが、EV車の取り扱いを熟知しなければならないという事情がある。
そこで記者に1日だけ空車教習をしてEV車に乗りまくってもらおうということなのかどうかは分からないが、とにかく芝ルートの乗務ができるようにしたいということのようだ。結果論だがEV車には乗ったことがないので、記事になる機会と挑戦を与えてくれたと前向きに考えて空車教習に挑むことにした。EV車は2種類に大別される。
日野ポンチョを改造したポンチョ電気バス(EVポンチョ)と、EVモーターズジャパンのEVコミュニティバス(F8 series4-Mini Bus)である。この2台は設計コンセプトが異なるので取り扱いも運用手法も異なる。これらを乗り比べながら操作やルートを覚える訓練をするのだ。
■EVポンチョ
EVポンチョはそもそも短距離走行を目的としているので、走っては充電するを繰り返すことで1日の仕業をこなす。スペックとしては満充電で30km程度の運行しかできない。よって芝ルートを1往復しては帰庫して充電するという運用である。
ディーゼルポンチョを改造しているので操作はほぼ同じだが、バッテリー残量計を気にしながらの運行だ。電力回生ブレーキは1段しかないが、回生効率はかなり良いように思える。バッテリー容量は少ないが回生もよく効くので、惰性走行後の減速やなだらかな下り坂での抑速で電力を積極的に回収しながら走る印象だ。
そもそもポンチョはハンドルが軽いのだが、EVポンチョもかなり軽やかにハンドルが回るので運転はしやすい。ちなみに電力回生ブレーキとは、エンジンブレーキのEV車版だ。
エンジンブレーキはガソリンを消費せずブレーキパッドも摩耗しないメリットがある。EV車はエンジンではなくモーターなので、モーターに電流を流さず軸を回すと発電機になることを利用して負荷をかけて減速する。発生した電力をバッテリーで回収することにより省エネになるというものだ。




