排気量50cc超125cc以下かつ最高出力4.0kW以下へ制御した二輪車を、従来の原付一種と同じ交通ルールで運転できる新たな区分基準が2025年4月から施行されている。そして、その新たな区分基準(新原付基準)に適合したスクーター「ヤマハJOG ONE」が、2026年3月19日に発売開始。その走りをチェックしてきた。
JOG125をベースに新原付基準に適合化
50ccスクーターは、エントリーモデルや通勤通学などのコミューターとして1980年代に大人気となった。その後、電動アシスト自転車の登場などコミューターの多様化や、排ガス規制適用による4スト化で車両価格上昇など、さまざまな要因で販売規模は縮小していった。また、エントリーモデルは世界的に125ccクラスが主流となっていることもあり、50ccスクーターが属する原付一種はほぼ国内専売と言える状況。そうした需要と供給、社会情勢の変化に即した対応策として、出力を抑制した125ccベースの車両を原付免許で運転できるように改正した、新原付基準が施行されたのだ。
「JOG ONE」に搭載されている空冷4ストローク124cc単気筒エンジンは、「JOG125」をベースとしている。ただし、最高出力は8.3PS/7000rpm→4.8PS/5750rpm、最大トルクは1.00kgf・m/5000rpm→0.79kgf・m/3000rpmへと抑制することで新原付基準に適合。さらにライディングシートを一人乗り向けの形状に変更し、タンデムステップは未装備に。原付二種を表すフロントフェンダーの白いラインとリヤフェンダーの三角マークも装備されない。また、スピードメーター表示が60kmまでとなり、30km/hを超えるとメーター内に「SPEED」と赤く点灯する警告灯が追加されたのが主な変更点。車体サイズは「JOG125」と変わらず、車重も95kgと同一だ。価格は「JOG125」が25万5200円、「JOG ONE」が25万9600円と、規制適合化の装備変更で4400円高くなっている。
JOG ONEの足着き性をチェック
コミューターとしての動力性能に不満なし
「JOG ONE」のパワーとトルクはベースの「JOG125」から抑えられているが、パワーは最高速に関わる要素なので、30km/h規制が適用される「JOG ONE」の走行性能に大きな影響はないだろうと思っていた。むしろ加速性を左右するトルクの減少が気になっていたが、実際に市街地を走行してみると杞憂に終わった。前走車に続いて発進する際、スロットル操作に対するエンジンのレスポンスにダルさは感じず、軽い車体はスムーズに動き出す。そこから少しスロットルを開けると、トルクの厚みがさらに増し、ストレスなく交通の流れにのれる加速力が立ち上がってきたからだ。
今回、急な上り坂を走る機会はなかったが、地下駐車場から出口へ向かうスロープや、堤防上の道路に合流する上り坂などで失速しない登坂力を確認できた。また、減速状態からスロットルを開けて再加速するような際もしっかりと加速力が発揮され、トルクの粘り強さも体感できた。
「JOG125」と比較すると「JOG ONE」の加速は少しマイルドに感じたが、最大トルクの発生回転は5000→3000rpmと低くなっている。タコメーターが装着されていないので個人的な経験則になるが、スロットルを開けていって遠心クラッチがミートするのが2500rpmあたり、そこからスロットルを少し開けて車体が走り出すのが3000rpmあたりという印象。なので、「JOG ONE」の最大トルク発生回転は実走行での常用域に合わせられていて、コミューターとして扱いやすさが感じられるエンジン特性になっていると思った。
排気量拡大で扱いやすさも増している
水冷50ccエンジンを搭載した原付一種モデル「JOG(生産終了)」と比較すると、「JOG ONE」は全長+65mm、全高+50mmほど大きくなり、車重は78kg→95kgへ増加している。しかし、実際の押し引きで重さはなく、取りまわしやすい車体サイズに収まっているように感じられた。
「JOG」の最高出力は4.5PS/8000rpm、最大トルクは0.42kgf・m/6000rpmと数値的には「JOG ONE」と近いが、発生回転域にはかなり差がある。「JOG」には50ccらしい高回転まで回す楽しさがあったけれど、低回転で実用的な走りが可能な「JOG ONE」のほうが重量差を考慮してもコミューターとしては扱いやすく感じられる。新基準原付はメーカーの製造合理化という一面もあるが、排気量拡大で低回転域トルクがより実用的になり、さらなる扱いやすさを実現しているのが我々ユーザーにとっては大きなメリットと言えるだろう。
原付一種クラスとしての「JOG ONE」は必要充分以上の走行性能を実現していて、予想していたよりも速かった。ただし、ベースの「JOG125」よりスロットル開度が抑制されていて、エンジン回転が頭打ちになっている感触はないのに高回転まで回らないように感じた。30km/h制限下ではスロットルを全開にする機会は多くないが、上り坂や加速時などで「もうひと伸び」させたいと思った瞬間もあった。それでも、点火カットやスピードリミッターのような唐突な制御による不自然なライディングフィールはなかった。そうした点も含めて新基準原付の「JOG ONE」は現代的な仕上がりで、50ccスクーターからの乗り換え候補としてオススメの一台と言える。
余談だが、「JOG125」と「JOG ONE」の排気量は124ccで同一だが、原付免許と普通自動車免許で運転できるのは「JOG ONE」で、「JOG125」はAT小型限定普通二輪免許以上が必要となる。また、「JOG ONE」は原付一種の交通ルールが適用されることも留意しておきたい。
ヤマハJOG ONE主要諸元
・全長×全高×全幅:1740×675×1090mm
・ホイールベース:1205mm
・車重:95kg
・エンジン:空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒124cc
・最高出力:4.8PS/5750rpm
・最大トルク:0.79kgf・m/3000rpm
・燃料タンク容量:4L
・変速機:Vベルト式無段/オートマチック
・ブレーキ:F=リーディングトレーリングドラム、R=リーディングトレーリングドラム
・タイヤ:F=90/90-10、R=90/90-10
・価格:25万9600円
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/525537/
【試乗】新基準原付「JOG ONE」は、「JOG」らしい俊敏な走りを実現! 【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/525537/525576/




















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