レクサスブランド日本導入から今年で13年。ブランド構築が確立されつつあるといわれるいっぽうで、「世界を見るとまだまだ浅い」と指摘する向きも。おなじみの西川淳氏に、レクサスの頑張った3台、残念な3台を挙げてもらいつつ、“レクサスの立ち位置”にも触れてもらった。
文:西川 淳
写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2018年5月26日号
■本当に大事にすべきところ
ボクはガイシャ好きの日本車嫌いじゃありません。見て乗って、できれば自宅のある京都と往復してみて、いろんな意味で「いいなぁ」と、心から思えたクルマを好きになる。そこに国の別なんて、ない。嫌いなイタ車もあれば、好きな軽自動車もあるんです。
とはいえ、いわゆる高級車ってヤツが得意分野なので、日本国内市場で初めてラグジュアリィーブランドを目指したレクサスには、前々から期待してきたんですよ、ずっとね。だからLCの量産デザインが見えた時、とってもコーフンした。やっと日本のブランドから世界に向けて“見たか!”と言える美しいクーペが出現したぞ、ってね。これからレクサスは凄くなる、マジでそう思いましたよ。
ところが、新型LSに乗ってみて、がっかりした。LCに乗ってネガに思った部分が、何だか強調されてしまっていた。乗り心地とか、高速走行時の安定性とか、ね。肝心のハイブリッドシステムだって、なんだか未完成な感じがして。新しいガソリンターボがいいなんてみんな言うけど、世界から見たら完全に周回遅れ寸前で。レクサスはハイブリッドを極めた方がいいと思う。なのに、どっちも中途ハンパ。
力の入れどころを間違っていませんか、というハナシなんですよ。LCが美しいのはいい。LFAやRC Fの走りはよかった。けど、ちゃんと認めてもらうべきは、CTでありISでありLS、軸となる背の低いスタンダードモデルなんです。そこがしっかりしないと、ラグジュアリーブランドとして成り立たないことは独車をみれば一目瞭然。ベンツもビーエムも、今じゃSUV一辺倒だけど、背の低い族の評価は依然として高い。
CセグやDセグはもちろん、フラッグシップの大型サルーンがずっこけたまま、背の高い族で勝負するというなら、いっそ、背の低い族を捨てることでしょうね。セダンはクラウンとセンチュリーに任せて、代わりに、ランクルでそうしたように、アルファードのレクサス版も作る。
そしたら、これまでのことを忘れて、世界もレクサスを新しい高級車ブランドとして、改めて認めてくれるかもしれません。
■よくぞ頑張ってくれた! の3台
■ちょっと残念ですね…な3台
コメント
コメントの使い方