純正タイヤ 車種でも変わる種類と事情

純正タイヤ 車種でも変わる種類と事情

 皆さんは車を買った時、どんなタイヤが付いているか意識したことはあるだろうか。実は、新車に組み込まれているタイヤは「OE(新車装着用)タイヤ」と呼ばれ、ほとんどの場合カー用品店などで一般ユーザーが買えるモノとは“別物”。しかも、「同じ車種の新車に、必ず同じメーカー・ブランドのタイヤが付けられる」というケースは、かなり少数派なのだ。そんなちょっと特殊な純正タイヤは、一般向けのタイヤとどう違うのか? 後で買うことは可能なのか? 

文:斎藤聡/写真:編集部


多くの車種は複数の種類あり! 純正タイヤに性能差はある?

こちらはロードスターの純正タイヤ。ヨコハマのリプレイス用にADVAN V105という銘柄は存在するが、写真のタイヤには「OE」の2文字が刻印されており、それとは全く同一のものではないことを伺わせるわかりやすい例のひとつだ
ロードスターの純正タイヤには「OE」の2文字が刻印されており、リプレイス用のADVAN SPORT V105と全く同一仕様ではないことを伺わせるわかりやすい例だ

 純正装着タイヤは、たいてい複数のタイヤメーカーが用意されています。これはあるメーカーが事故や災害などでタイヤが作れなくなったときにタイヤの供給が止まらないようにという意味があります。

 また、海外に輸出する車の場合は、仕向け地でタイヤが調達できるメーカーが採用されるということです。

 複数のメーカーがタイヤを供給していて性能差はないのか? という疑問ですが、自動車メーカーはかなり細かく性能をオーダーしていますから、メーカーの求める性能はクリアしています。

 例えば、プリウス(A、Aプレミアム)の場合、純正タイヤはブリヂストン「エコピア」、ダンロップ「エナセーブ」、トーヨータイヤ「ナノエナジー」の3種類ですが、その性能差はほとんど感じられませんでした。

 このように、国産車に限って言えば、複数ブランドの純正タイヤが装着される車種でも、メーカー・ブランドによる性能差はほぼなく、気にする必要はありません。

 また、タイヤ開発時も基準となるタイヤはありますが、クルマに合わせてチューニングが施されて行くようです。

 欧州では認証タイヤ制度を採用しているメーカーも多くあります。

 メルセデスベンツは「MO」、BMWは「★」、ポルシェは「N」、アウディは「AO」と「RO(RSモデル用)」といった具合です。

 ミシュラン、コンチネンタル、ピレリなど欧州タイヤメーカーは、自動車メーカーと共同で新型タイヤを開発するので、リプレイス(※タイヤショップやカー用品店で買えるタイヤ)とOEでタイヤの中身は異なるのが普通です。これは国産タイヤメーカーが欧州自動車メーカーにOE供給するときも同じです。

同じ名前でも純正タイヤの“仕様”は多種多用!?

先代のシビックタイプRは、コンチネンタルタイヤとの共同開発した専用の純正タイヤを装着
先代のシビックタイプRは、コンチネンタルタイヤのスポーツコンタクト6を純正装着。同銘柄は一般向けにも販売されているが、シビックの装着タイヤは専用設計だった

 日本車でもシビック・タイプR(2015年モデル)は、ニュルブルクリンクFF車最速を実現するため、コンチネンタルタイヤと共同で装着タイヤを開発しています。

 また、ピレリはP-ZEROの発表会の時点で70車超のOEが決まっていました。コンパウンド、ケース、ビードワイヤーなど何種類も用意して、各メーカーの様々な車種に対応してタイヤを作っているということでした。

 欧州ではタイヤメーカーは、新型タイヤを新型車の開発と合わせて、新しいタイヤを作ります。だから同じ名前のタイヤでも中身(チューニング)は別というのが普通です。

 国産メーカーはOE専用トレッドパターンがあり、あるいは新たに開発し、リプレイスとは分けて作られていることが多いようです。当然同じ名前のOE用タイヤでも各車種に合わせてチューニングが異なります。

 輸入車のように認証マークはありませんが、専用にチューニングされ型番で区別されているようです。

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