道路を走行するトラックには、さまざまな大きさや重さが存在。その大きさや重さは道路運送車両法などの法律により細かく規定されているというが、具体的にはどのような規定が存在するのだろうか?
意外と知らないトラックの重量寸法規定について、多賀まりお氏が解説する!!
文/多賀まりお 写真/いすゞ自動車、三菱ふそうトラック・バス、関東地方整備局、トラックマガジン「フルロード」編集部
※2019年6月10日発売「フルロード」第33号より
大型トラックの大きさと重さに影響を与える日本の重量寸法規定
日本の道路を走る自動車の大きさや重さは、道路運送車両法(道路運送車両の保安基準)のほか、道路法(車両制限令)、道路交通法(道路交通法施行令)の制限を受ける。
保安基準が定める単車の大きさの上限は全長12m×全幅2.5m×全高3.8mだが、「高さ指定道路」においては海上コンテナなど積載物が高さの制限値を超える場合は全高4.1mまで通行可能。
また、車両総重量(GVW)は20tが保安基準の制限値だが、「重さ指定道路」(および高速自動車国道)では全長と最遠軸距に応じて最大25tまで認められている。
最遠軸距は文字通り車体前端の車軸から後端の車軸までの軸距(ホイールベース)で、長いほど荷重が分散して橋梁や道路への負担が抑えられることから、5.5m未満(または全長9.0m未満)の場合GVWは20tまで。5.5m以上7.0m未満で全長9.0m以上は22t、7.0m以上で全長11.0m以上は25tまでと定められている。
また、軸重は最大10t/輪重5tが基本。複数の車軸を近接して配置する、いわゆるタンデムアクスルには隣接軸重の制限がかかる。隣接する軸距が1.8m未満のものは18.0t(ただし1.3m以上1.8m未満で軸重がいずれも9.5t以下の時は19t)、1.8m以上なら20.0tというものだ。
実際の大型トラックの重量寸法はどうなっている?
単車の中でも最も大きい大型車の成り立ちにはこうした決まりが反映されている。すなわち、カーゴ系の長尺車は全長12m、最遠軸距7m級のGVW25t車が大勢を占め、ダンプやミキサなどの特装系は短尺の20t車が主流。
最遠軸距5.5m級の22t車、最遠軸距7mの要件は満たしてもタイヤの許容荷重の関係からGVWが25tまでとれない小径扁平タイヤの低床3軸車などがその中間に存在する。
なお、当たり前ながら、それぞれの車軸にかかる重さ(軸重配分)は荷重がかかる点と車軸位置の相対関係で決まる。
例えば長尺カーゴのショートキャブ車はフルキャブよりもキャブが短いぶん、荷台長が伸びて荷台中心位置が前進するため、前軸にかかる荷重の割合が大きくなる。
このまま荷台中心に荷重をかけると、前軸が後軸より先に許容値に達して積載量が充分にとれないことがある。そこで後軸の位置を前進させて後軸の荷重負担割合を大きくすると、無駄なく大きな積載量がとれる。
7m超のホイールベース超にも複数の設定があったり、前2軸車のホイールベースがひときわ長いことには、こうした軸重配分の理由がある。
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