経済アナリストの森永卓郎氏が『年収300万円時代を生き抜く経済学』(光文社)という予言的な著書を上梓してから19年。時代は森永氏の予言のさらに先を行く事態になりそうな気配もあり、下手をすれば「年収200万円時代」が到来してしまうのかもしれない。
だが仮にそんな時代がやってきたとしても、変わらずに「クルマを愛し、維持し、そしてともに生きていける術」を、今のうちから習得しておこうじゃないか!
精神論はともかく、その前に「お金」がないと始められないのがクルマ生活というもの。限られた予算、というか正直「不足している予算」から、どうすればクルマ関係の出費を捻出できるのか、考えてみよう。
※本稿は2022年7月のものです
文/伊達軍曹、写真/ベストカー編集部、AdobeStock ほか(トップ画像=BillionPhotos.com@AdobeStock)
初出/ベストカー2022年8月10日号
■この収入だとクルマに回せるお金は0円か?
上の表は、30代から50代あたりの人間が世帯主を務める日本人家庭の「平均的な家計」である。
各省庁が発表している統計や大手保険会社の調査、そして筆者自身が身近で行ったヒアリングの結果などを“勘ピュータ”で総合したアバウトな数字であるため、実際は、これより多い人も少ない人もたくさんいるだろう。
だが平均というか中央値的には「今のニッポンはおおむねこんな感じ」と言えるはずだ。
で、見てのとおり家計はギリギリであり、なおかつこの家計簿には「クルマ関係費」がいっさい入っていない。クルマなしで、すでにこのギリギリ状態なのだ。
こんな状況からクルマ関係費、すなわち車両本体費用や駐車場代、保険料、ガソリン代などを捻出するには、果たしてどうすればいいのか。
食費を減らす? いや月に4万2000円という額は、4人家族であればすでにギリギリだろう。子どもの教育費を減らす? それもお薦めできない。子どもは地球の宝であるからだ。貯金をやめる? 論外である。
ならばどうするべきなのか? 次章以降、リアルな戦術を考えてみよう。
■なんでもかんでも節約するのではなく「本当の無駄」だけをカットする
筆者のこれまでのフィールド調査によれば、失礼ながら貧乏な人ほど「無駄な出費」に対して無頓着で、どうでもいいモノをダラダラ買い続けることで、少しずつ金を失っている。
それに対して裕福な人は「出費の基準」が厳格で、手元にカネはあっても、無用な買い物はほぼ絶対にしないという傾向がある。
当然ながらここで真似するべきは「裕福な人」の出費哲学だ。必要なモノやコトに対しては普通に支出するが、そうでないモノやコトに対してはとことんシビアになる─という姿勢である。
その姿勢を上の家計に当てはめるなら、まずカットすべきは「通信費2万円」だ。おそらくこの例の人は大手通信キャリアに薦められるがままのプランでスマホを契約し、どうでもいいオプションもそのままにしているはず。
そこをばっさりカットして格安SIMに乗り替え、通話も極力LINEやFBメッセンジャーの音声通話で行うようにすれば、月額にして1万円は安くなるだろう。
そしてこの人は日中、ほぼ惰性で自販機に150円を入れて500mlのコーラとかを飲んでいるはずなので、それもやめて「水筒生活」を送るようにすれば、さらにおおむね3000円は出費が減る。
こういった行動の積み重ねにより「生活の質を落とさないまま支出を減らす」というのが、愛好術の第一歩だ。
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