寒い冬場は、車にとっても厳しい季節。そのため、今では当たり前の装備となった「アイドリングストップ」が、夏場とはまた違う要因で作動しない場合が多々ある。
燃費にも効くこのシステム、そもそも、どの程度の気温までなら作動するのか? そして、作動しない原因は寒さだけなのか?
アイドリングストップには細かな作動条件が数多くあり、「作動するはずなのに……」と思えるような状況でも、実際には“何らかの条件”(後述)に引っ掛かっているケースも多い。
文:永田恵一
写真:SUBARU、編集部
外気温が何度までならアイドリングストップは作動する?
冬場にアイドリングストップが作動しない最大の要因は、外気温とエンジンの冷却水の温度が低く、基準値に入っていないケースだ。
具体的には、ダイハツのNAエンジン車の場合、「外気温が0℃以上、エンジン冷却水温が53~105℃の範囲(エンジン冷却水温53℃以下=水温計がない車に付く青いランプが付いている間とほぼ同じ)でないとアイドリングストップが作動しない」という作動要件がある。
寒い冬場は、外気温が低いなかでエンジンを掛けるため、バッテリーやエンジンの負担が大きく、燃費よりも乗員の体調や快適性の維持が重要。
そのためエンジン付きの車であれば、ヒーター(温まった冷却水を熱源に使う)をなるべく早く効かせるため、特に始動直後にアイドリングストップを作動させないことは、ごく正しい判断といえる。
また、エアコンが「オン」になっていて、車内が温まっていない場合には、車内を設定温度に維持すべく、冷却水温を上げ、ヒーターを効かせるためにアイドリングストップが作動しないケースも多々ある。
寒さだけが原因じゃない!? 意外なほど多い「作動要件」
その他、冬場に限らず多数あるアイドリングストップが作動しない要因としては、以下のように多岐にわたる。メーカーや車種によって異なる部分もあるが、大半は共通する条件だ。
・エンジン始動直後(暖機のため)
・パーキングブレーキを使っている
・ボンネットが開いている
・ドアが開いている
・ドライバーがシートベルトを未装着
・外気温が高い(例:ホンダN-BOXはエアコンオンで40℃以上、ボルボの各車は約30℃以上)
・冷却水温が基準より高い(例:ダイハツのNAエンジン車では105℃以上)
・12Vバッテリーの温度が基準より低い時と高い時
・12Vバッテリーの電圧が低い
・前後ガラスの熱線やエアコンの風量最大時など、電気の消費が多い電装品の使用時
・車内温度が高く、クーラーで最適な車内温度を維持している時
・デフロスター(ガラスの曇りを取りクリアな視界を確保)がオンになっている
・フットブレーキの踏み方が足りない
・走行モードが「スポーツモード」などになっている
・ATのシフトレバーが「Dレンジ」以外に入っている
・ハンドルが切れている、ハンドルに力が掛かっている
・標高が2000、3000mといった高いところにいる(気圧が低いため)
・急な坂道での停止(エンジンを掛けた状態でしっかりフットブレーキを掛けるため)
・ATF(オートマのフルード)の温度が規定より低い時と高い時
・ディーゼル車であれば、DPF(黒煙の原因となるパティキュレートを集めるフィルター)が溜まり、再生している場合
※DPFの再生は車種によって異なるが、ディスプレイへの表示で把握できることもある
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最近の車では、アイドリングストップが可能な場合にはメーター内に何らかの表示が点くことが多いことに加え、「アイドリングストップしない理由」が表示される車も珍しくない。
本当にアイドリングストップに異常がある場合は「警告灯」が点くので、逆に言うと点灯していない時は、本稿で紹介した“何らかの条件”に当てはまっているケースがほとんど。これらも参考にしながら、アイドリングストップが作動しなくても慌てないようにしてほしい。
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