長時間運転すると腰が痛くなってしまう人が多い。昔からシートの出来はドイツ車の評判が良く、日本車のシートは悪いとされてきた。そんななか、新型セレナやノート、キックスなど最新の日産車には長時間運転しても疲れにくいシートを採用している。いったいどんなシートなのだろうか?
文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカーWeb編集部、日産自動車
■疲れないシートといえばドイツ車の専売特許だったが今は日産車のゼログラビティシート
かつて、長時間乗っても疲れにくいシートといえばドイツ車だった。特にW124型EクラスやW126型Sクラスなど、メルセデスベンツのファブリックシートに座ると、ほどよい硬さで背中や座面を包み込む感じで、東京~大阪などを往復しても明らかに疲労感が少なかったことを記憶している。
昔の日本車のシートは長時間の高速走行を想定していないのか、腰痛持ちにはつらいものだった。メーカー純正シートに不満だった人はRECARO社などシートメーカー製の社外品に頼らざるを得なかった。
そんななか、2022年12月22日に発売された、新型セレナに試乗した際、なんとももっちりとした包み込まれる感覚のシートに好印象を持った。すでに3回もぎっくり腰を経験している50代の筆者には、疲れにくいシートを搭載しているクルマには昔から興味があったという背景もある。
これは、ゼログラビティ(無重力)シートと呼ばれるもので、実は今回の新型セレナが初めてではなく、ノート&ノートオーラ、キックス、デイズなどにすでに採用されている。
スパイナルサポート機能付きシートとも呼ばれ、実は10年以上前の2011年10月に発表。このスパイナルは、背骨、脊髄という意味があり、NASAが無重力状態で計測した「中立姿勢」をもとに、背骨や筋肉に負担がかからないように設計。
この中立姿勢は、宇宙空間のような無重力の中でリラックスした姿勢のことで、人間工学的にも身体への負担や疲れの最も少なく理想的な姿勢と言われているそうだ。
具体的に言うと、背もたれの形状を見直して、身体にかかる圧力を分散させることで、無重力の中立姿勢に近づけた構造だ。
普通のシートは、シートの背もたれが平坦で、身体の揺れを防ぐため、腰にあたる部分だけ盛り上がっているシートが多いが、このようなシートの場合、腰にだけ圧力がかかり、骨盤が浮いた状態になるため、背骨や筋肉に負担がかかりやすいとされている。これが、腰が痛くなる原因となっているのだ。
そこで日産自動車は、シートシミュレーターと人体骨格モデルを使い、人体にとって最適な形状・構造の「中折れ形状」の背もたれパッドを開発し、背骨と筋肉が背もたれ部分にかかる圧力を分散させる理想的な体圧分布と中立姿勢を実現。
また、重い「胸部から骨盤部」を連続的に支えることで、背骨への負担を軽減かつ血行を改善し、長距離運転中の同じ姿勢でも疲れを軽減し、快適な座り心地を実現しているという。
紹介しているキックスのシート構造図の写真と「ゼログラビティシート疲労度概念図」を見ていただければわかるが、従来品と比べて疲労度が低減。このキックスではどれくらい疲労度が軽減されたのかデータは書かれていないが、ノートの場合、疲労度は30%も軽減したという。
コメント
コメントの使い方これ展示車で座ったが大したこと無い。
それよりかやっぱり今も昔もトヨタのシート(供給元の違いはあれど)が一番良い。何時間乗っても疲れない。体をきちんと支える。ステアリング、ペダル、レバー等の位置や重さもきわめて最適。日本人でも欧米人でもトヨタに文句を言い欧州車を褒める輩は所詮半可通かと。長年の研究成果をきちんとシートメーカーと共有し、また消費者の感想にも真摯に耳を傾けている証拠がトヨタの製品群だ。