日野自動車の中型トラック「レンジャー」が10月4日、一部改良を発表した。改良の内容はわずかではあるものの、2025年度重量車燃費基準(JH25モード)に対応した燃費値の表記をスタートしている。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/日野自動車
改良は騒音規制への対応
今回の改良では、車両総重量(GVW)8トン~12トンまでの車型(FC/FD/GC/GD/FX/GX)に対して、遮音カバー・吸音材をエンジンおよびシャシーに装着したもので、今年9月から適用スタートのN2カテゴリー(GVW3.5トン~12トンまでの貨物車)に対する国連R51-03フェーズ2騒音規制に対応した。
改良モデルのカタログ諸元値を、従来モデルのそれと比較すると、車両重量および積載スペックの変更はなく、諸元に影響しない範囲とみられる。
なお、現在発売中のレンジャーは、最高出力240PS・最大トルク81kgm(794Nm)のA05C-TE型、最高出力240PS・最大トルク85kgm(833Nm)のA05C-TD型、最高出力260PS・最大トルク90kgm(882Nm)のA05C-TC型の、いずれも排ガス後処理に尿素SCRを用いる、3機種のA05Cエンジンを搭載したモデルのみとなっている。
JH25モード燃費値も記載
また、製品カタログなどへの記載(今春以降)が遅れていたJH25モード燃費値についても、今回の改良を機に対応した。
代表的な車型として挙げられている、GVW8トン・ベッド付キャブのレンジャーFD・ワイドキャブ・標準ルーフ・リーフサス・A05C-TEエンジン・アイドリングストップシステム付・6速マニュアルT/M・平ボディ完成車(2PG-FD2ABA)のJH25モード燃費値を例にすると、1リッターあたり7.95kmとなっており、従前のJH15モード燃費値(リッター7.70km)を上回っている。
この傾向は、レンジャー全車型に当てはまるものではないが、概ねマニュアル車(一部を除く)でJH25モード燃費値が好転していることがわかる。
JH25モード燃費は、キャブ空気抵抗やタイヤ転がり抵抗のそれぞれ実測値をパラメータとして燃費値を算出していること、また、トラックの運行実態を反映した都市内/都市間の走行比率で試験していることが特徴で、JH15モードに対しリアルワールドに近い燃費値とされる。なお、シャシーそれぞれの性能によって、JH25モード燃費値が(JH15に対して)上下に変動するのは、日野車に限らずどのメーカーでも現れていることである。
同社では、騒音規制対応以外の変更はないとしている。ただ、ベースシャシーそのものに変更はないものの、メーカー標準生産の平ボディ完成車を設定しなくなったバリエーションが一部みられる。いずれも平ボディ完成車の供給例が僅少あるいは皆無な仕様を整理したものと推測される。
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