世界的なトレンドとなっているバッテリーEV(BEV)トラックだが、車両価格はディーゼル車の2~3倍、運行コストが低いとはいえ、初期投資の高さから中小企業には導入しにくいのが現状だ。
この度スカニアは、欧州で初期コスト不要でBEVトラックを利用できる従量課金制のサービスを合弁で開始した。欧州でも運送事業者の大部分は中小企業で、「使った分だけ」課金の新サービスで、BEVトラックの普及加速を目指している。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Scania CV AB
スカニアが合弁設立
スウェーデンを本拠とする商用車メーカーのスカニアCV ABと、欧州で陸上貨物のデジタルプラットフォームを提供するセンダー・テクノロジーズGmbHは2023年11月8日、合弁会社のJUNAを設立したと発表した。合弁会社により欧州の陸上貨物輸送に新たな電動化の手段を提供する。
ドイツ・ベルリンに設立された新会社は、持続可能な運送業界を実現するためバッテリーEV(BEV)トラックの受け入れを加速することを目的とする。これはACEA(欧州自動車工業会)などの「2040年までに新車販売の全てを化石燃料フリーとする」という声明に沿ったものでもある。
新たに設立した合弁会社は、メーカー自らがBEVトラックの「ペイ・パー・ユース(従量課金)」というビジネスモデルを導入したことが革新的だ。というのも、現状ではBEVトラックは同クラスのディーゼル車の2~3倍の車両価格となっているためで、普及のためには初期コストを抑える必要があるからだ。
センダーのデジタルプラットフォームで貨物へのアクセスを提供することで、顧客がBEVトラックを導入する際の障壁を取り除く。初期コストの高さのほか、残価計算、新技術導入のリスクなど財務上の課題を解消し、BEVトラックによる実際の収支を可視化することで、運送会社は商業化にむけた見通しを立てやすくなる。
また、スカニアの高品質なBEVトラックとセンダーの先進技術を組み合わせることで、中小企業であっても大手運送会社のような働き方が可能となる。両社の強みを活かし、JUNAは欧州の道路貨物輸送の脱炭素を加速することを目指している。