いすゞ自動車株式会社は、2030年のカーボンニュートラル(CN)対応車フルラインアップに向けた車両開発を加速させるため、藤沢工場内に電動開発実験棟を新設する。商用電動車に最適なシステムやコンポーネントを開発するための実験・評価設備を導入する計画で、2026年6月の稼働開始を目指している。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/いすゞ自動車・フルロード編集部
藤沢工場内に電動開発実験棟を新設
CN社会の実現に貢献するため、いすゞグループは、2030年までに全車種に電動化商品を展開することを掲げている。
その主力を担うと期待されているのがバッテリー電気自動車(BEV)や燃料電池自動車(FCEV)だが、従来の内燃機関車と大きく異なるコンポーネントで構成されているため、今後、商用車に最適な電動車両の開発をさらにスピーディーに進めるためには、メーカーが自らシステムやコンポーネントを評価・開発し、より高い次元の車両開発へとつなげることが不可欠となっている。
そこで、いすゞはこのたび、藤沢工場内に電動コンポーネント開発のための新たな実験・評価設備を導入することとした。
新設する電動開発実験棟には、バッテリー・モーター・EVシステム・熱マネジメントなどの実験・評価設備を採用。バッテリーの特性を詳細に把握することにより、最大限のパフォーマンスを発揮させるバッテリーマネジメントを実現する。
さらに、バッテリー・モーターなどのEVコンポーネントを組み合わせた状態で機能を最適化するとともに、システム全体の熱マネジメントの最適化が実現可能となる。
また、FCEVシステムの実験・評価設備の活用により、システムレベルで高度なエネルギーマネジメントおよび熱マネジメントの最適化を行ない、航続距離と走行性能の改善に寄与する。これらの機能を電動開発実験棟に導入することで、よりスピーディーな電動車両の開発を実現する。
いすゞグループは2023年5月に、CNや物流DX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進するため、1兆円のイノベーション投資を公表。今回の電動開発実験棟の新設もその一環と位置付けている。
来るべきCN社会に向け、電動開発実験棟の新設と最新鋭の実験・評価設備の導入を通じて、CN対応車の開発体制強化およびその普及・促進を図る。