そんなにたくさん売れたわけじゃない。でも、何年経ってもみんなが覚えている。今回は意外に高値な日産パイクカー第3弾の日産 フィガロ。登場から30年を経ていまだ愛される、ガイシャの雰囲気が漂う一台だ!!
※本稿は2023年12月のものです
文/小沢コージ、写真/奥隅圭之
初出:『ベストカー』2024年1月10日号
■あのクラプトンも持ってたって知ってた?
まさかこんなことになっていたとは。そう、バブル期に一世風靡した日産パイクカー第3弾のフィガロよ(商用エスカルゴも入れると第4弾)。パイクは「尖った」の意味で当時の日産が生み出した一連のレトロカーたちだ。
丸目コンパクトのBe-1に始まり、SUV風のパオと来てフィガロへ続くわけだが、オープンにもなる2ドア4座クーペボディと、少々オーバーデコレーション気味のインテリアやスイッチ類が当時はややわざとらしく見えたもの。
ところがどっこい、今見るとどうでしょ? ヤレたホワイト内装やメッキがヤケにいい味出してるじゃないの!
マジメな話、MGとかオースチンなんかの古いイギリス車のようで、フィガロは1989年の第28回東京モーターショーに初出展。限定2万台で3回に分けて抽選され、初回の8000台の枠には21万件、2回目の6000台の枠には13万件の申し込みがあったとか。さすがはバブル期!
しかしその後中古は海外に輸出され、なかでも同じ右ハンドルのイギリスで大人気に。セレブ系ではエリック・クラプトン、噂じゃエルトン・ジョンやオアシスのノエル・ギャラガーまで所有していたらしい。
事実、今も英語でザ・フィガロ・ショップと検索すると専門店が出てきて在庫車やパーツ、カスタム&レストア情報が出てくる。フィガロが懐かしの英国車っぽく見えるのは世界共通感覚なのだ。
■内装も英国車っぽい!?
今回、小沢もフィガロに強いマニアック店、栃木のガレージ・コヌマさんに行って驚いた。ほかでは安くてボロいのもあるがコチラではちゃんと整備したものが200万円前後で売られ、探せばもっと高値のタマもある。世界で価値が認められている証拠よ。
今回撮影させてもらった走行9万キロのタマもレストア寸前の整備がなされ、エンジンはヘッドカバーのカチャカチャ音を直し、ミッションはオイル交換してコントロールボディのソレノイドセンサー交換まで。
シートももともとは米国シートン社の革製だが当然コノリーレザーで張り替え。ダッシュボードもヒビ割れなので作り直し、CDチェンジャーも中身取り替えてブルートゥース接続できるようになっているとか。要は完璧にレストア技術が確立しているわけ。
面白いのは、中身は1980〜1990年代に活躍した初代日産マーチだってことで、古いは古いんだけど本当の1950年代の英国車ほどボロくはない。パーツも調達しやすく安心だ。
インテリアは全域クリーム色の樹脂で覆われ、操作系はレトロデザインのトグルスイッチだったり、メッキのツマミだったりする。正直、ディズニーランドちっくな1990年代のレトロデザインで、本当の英国調クラシックカーとは違うんだけどそこが可愛い。
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