意外と細かく気にしていない自車の速度。多くは前車に続くように走っているが、ひとたび自車のみになると途端に気になる「何km/hまでOK?」ってこと。そこで今回は制限速度や最高速度に加え、法定速度や指定速度について。
文/山口卓也、写真/写真AC、イラストAC
■まずは必ず知っておきたい“最高速度”について
クルマが走行時に超えてはいけない最高速度については、指定速度や法定速度、制限速度などの言葉があるが、まずは道路交通法ではどう書かれているのか?
道路交通法第22条では、最高速度について以下のように定められている。
「車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度を超える速度で進行してはならない」
つまり、クルマが走っていい上限の速度(最高速度)には2種類があり、ひとつは道路標識や道路標示で指定されたもの。これを「指定速度」と言う。
もうひとつは道路標識や道路標示のない道路には、政令で定められた規制速度があるということ。これを「法定速度」という。
また、道路交通法には“制限速度”という単語はない。速度を制限する単語としては“最高速度”のみあるが、あえて言うなら指定速度も法定速度も「速度を制限している」わけで、これを一般に「制限速度」と呼んでいる。
■法定速度と指定速度、どっちを守ればいいの?
一般道路の法定速度は普通自動車も軽自動車も大型自動二輪車も大型トレーラーもすべて60km/h。そして原動機付き自転車(原付)は30km/h、緊急自動車は80km/hとなっている。
よって、普通自動車に乗る我々が街中を走る場合、その多くは「60km/hを超えないように」を意識して走っていると思うが、それは間違いではない。
だが、バイパス道路などでは道路標識や道路標示で60km/hを超える速度が指定されることがあり、一般道路を走っていると勘違いして「え? なぜ?」と思ってしまうこともある。だが、この場合は指定速度に従えば何ら問題ない。
問題なのは逆のパターンで、70km/hや80km/hの指定速度でバイパス道路を走った後に、似たような景色の一般道路に入った時。ついついバイパス道路のつもりでさっきまでの速度で走ってしまうと、当然速度違反となるので要注意!
■指定速度は場所によってどう違う?
ほとんどの指定速度は、「普通自動車などは60km/h」といった法定速度を下回る速度が設定されている。指定速度は、交通事故の抑止(交通の安全)、交通の円滑化、道路交通に起因する障害の防止の観点から必要に応じて設定され、その道路が市街地か非市街地か? 生活道路かどうか? などにより次のように決められている。
生活道路(「ゾーン30」の看板が目印):原則30km/h
市街地(2車線):40~50km/h
市街地(4車線以上):50~60km/h
非市街地(2車線):50~60km/h
非市街地(4車線):50~60km/h
自動車の通行機能を重視した構造の道路:原則70km/hまたは80km/h
※原則として「設計速度が60km/h以上」「立体交差化」「上下線分離」「歩行者、軽車両、原動機付自転車の通行止めがされている道路」が対象
2006〜2007年の調査結果ではあるが、日本はアメリカ(11.2%)やイギリス(21.1%)、フランス(11.4%)、ドイツ(14.0%)などと比較して、歩行中の事故の割合が33.3%と非常に多い。
また、住宅街でよく見かける「ゾーン30」の標示、これはこの区域の最高速度が30km/hに指定されていることを指している。歩行者と車両の事故では30km/hを超えると歩行者の致死率が一気に高くなることもあり、30km/hに指定されているのだ。
交通安全対策の多くは、道路(線)や交差点(点)の問題を解消するために行っている。これに対し、ゾーン(区域)で行う交通安全対策は幹線道路等で囲まれた住居地域全体に交通規制や安全対策を実施することで、その地域の人がクルマからおびやかされることなく安心して生活できる区域を作ることが目的であることは知っておきたい。
コメント
コメントの使い方