最近信じられないニュースを耳にした、それは近所の公園から蛇口が盗まれたという事件だ。しかもそれが年に何百件と起きている。みんなが使う蛇口を盗るなんて許せない事だが、何故蛇口を狙うのか? その背景にはEVシフトで需要が爆上がりしているある物が関係していたのだ。
文/べストカーWeb編集部、写真:Adobe Stock(トップ画像=zheng qiang@Adobe Stock)
■目的は蛇口に含まれてる銅?
公園の水飲み場やトイレなどに多く設置されている蛇口の素材は、銅合金(真ちゅう)という素材で出来ている。この銅を欲しいが為にこのような窃盗が増えているのだ。
またその中でもとりわけ日本製は、金属の混ざりものが少なくて純度が高く質が良いのと、蛇口の施錠が困難な点も集中的に狙われている要因の一つになっている。
そして、この問題をより深刻にさせているのが買い取り業者の存在だ。通常、このような盗品は見分けがつきやすく、バレやすいのだが、一部の悪徳業者が無条件に買い取りを行っているらしく、そのせいで被害がなくならないのだ。
それにしても、銅の価格というのはそんなにも値上がりしているものだろうか? 私も含めて身近な物じゃないので、相場が上がっているのか分からないのが正直なところだ。
そこで最近の銅の価格を調べてみると、1kg辺り約1231円と30年前の1kg辺り約178円に比べて、なんと6倍も増加している事が分かったのだ。
そしてこの一連の事件の主な要因となっているのが電動車需要の増加という見方も多い。クルマを作る過程で必ず使用されるのが銅なのだが、EVは他と比べてもその使用量がずば抜けているのだ。
■そんなに多いの⁈ EV一台に掛かる銅のコスト
EV1台に用いられる銅は、バッテリーや電気モーター内の巻き線に加えて、各種配線などで銅を約83キログラムも使用する。
参考程度に、内燃機関の自動車では約23㎏、ハイブリッド車(HV)では約40㎏、プラグインハイブリッド車(PHV)は約60㎏作るのに必要なので、その差は歴然だ。
それだけではない、皆さんもご存じの通りEVは充電が必要だ。その為のEV用充電器は普通充電器で約0.7㎏、急速充電器では最大8㎏の銅が必要で、周辺インフラの整備なども含めたら、その数は計り知れない。
■実は蛇口だけじゃない、まさかの物も盗難の餌食に……
盗まれるのは蛇口だけではない。道端の側溝にはめられた鉄製の溝蓋『グレーチング』や電線、はたまた電車に使う架線と通信ケーブルまでもが切断される事態も相次いでいる。
つい最近でも、京都のJR大和路線でレール同士の回路をつなぐ銅線で出来た「レールボンド」という機器が切断されるというニュースがあった。
恐ろしい事に、電車の架線が狙われる事件はこれ以外にも何件も発生していて、この問題深刻さが伺える。
側溝や蛇口などの身近な物が盗まれる物騒な世の中になってしまったなと感じる一方、今後も同じような事件が起きない事を祈るばかりだ。
【画像ギャラリー】なんでこうゆう事するのかね……蛇口だけじゃない! 窃盗犯から狙われる物はこちらから(3枚)画像ギャラリー
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