セダンの快適性やステータス性を備えつつ、高い利便性や優れた積載性を持ち合わせるステーションワゴン。北米や欧州では相変わらず一定の人気を獲得しているが、日本国内ではほぼ壊滅状態となっている。そんな中、今夏にはクラウンエステートが登場予定。これによってステーションワゴン人気が再燃する可能性はあるのか? ここでは、一時代を築いたステーションワゴンを紹介しよう。
文/木内一行、写真/トヨタ、スバル、日産、ホンダ
■高級感と機能性の両立はさすが「クラウンステーションワゴン」(8代目)
大きな転換を図った現行クラウンのモデルチェンジは賛否両論こそあるものの、注目度抜群だったことは間違いない。それだけに、17年ぶりに復活するエステートも話題となること必至だ。
ステーションワゴンやエステートは歴代モデルでも設定されていたが、なかでも8代目ワゴンは幅広いユーザーから支持された、印象深いモデルといえるだろう。
1987年にデビューした8代目クラウンは、「世界が認めるトップレベルの高級車」を目指して開発され、バブル景気も手伝って大ヒットを記録。
ステーションワゴンは、セダンと同一のフロントマスクやスペース効率を追求した2段ハイルーフ、大型リアコンビランプなどを採用し、より乗用車的なスタイリングを実現した。
そして、エンジンも2L直6DOHCにスーパーチャージャーを装着した1G-GZを搭載し、高級車にふさわしい動力性能を手に入れたのである。
1991年にはハードトップ系がフルモデルチェンジしたが、ステーションワゴンは大幅な改良を施して継続販売。外観はより洗練されたデザインとなり、大型バンパー装着の3ナンバー仕様も登場。オットマン機能付きのニューラウンジシートが採用され、エンジンも最上級グレードには2.5Lの1JZを搭載するなどのアップデートが施された。
このような改良を施して1999年まで販売されたが、高級志向のユーザーから支持されるとともに、ローライダー系などのカスタムユーザーからの人気も高かった異色なモデルでもあったのだ。
■積んでヨシ走ってヨシ! の新世代上級ワゴン「ステージア」(初代)
セドリック/グロリアが担っていた上級ステーションワゴンのポジションに、新たに送り込まれたのがステージアだ。
「プレステージ・ツーリングワゴン」のコンセプトで開発されたステージアは、ワゴンボディならではの高い機能性と、セダンの快適でスポーティな走りを両立した、これまでの国産車にはない新しいツーリングワゴンを創造。
車格感と存在感を強調したエクステリアは、スポーティかつ高級感あふれるスタイリングで、独創的なデザインのヘッドライトを採用したフロントマスクや伸びやかなロングルーフや特徴的だ。
室内の作り込みも上級のツーリングワゴンらしさ満点で、ゆとりある居住空間とともに、広く使いやすいラゲッジスペースを実現している。
そして、ステージアのセールスポイントのひとつが走りのよさ。これを実現したのがR33スカイライン/C34ローレルと共有のシャシーで、リアマルチリンクサスペンションや高剛性ボディ、直6の2.5Lターボエンジンなどにより、高性能セダンに匹敵する走りを手に入れたのである。
さらに、オーテックジャパンが手がけた「260RS」も追って登場。これはR33GT-Rのパワートレーンを移植した最強バージョンで、ワゴン版GT-Rとして大きな反響を呼んだ。
幅広いユーザーから支持されたものの、販売期間約5年と決してロングセラーではなかった初代ステージア。しかし、ワゴン専用モデルとして一時代を築いたことは間違いない。
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